森会長も延期容認「最初の通りやるんだ、と言うほど私どもは愚かではない」
国際オリンピック委員会(IOC)が新型コロナウイルス感染拡大に伴い、東京五輪・パラリンピックについて延期を含めて検討に入ったことを受けて、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)と、武藤敏郎事務総長(76)が23日、都内で報道陣の取材に応じた。会見で、森会長は「最初の通りやるんだと言うほど、私どもは愚かではないというふうに申し上げておきたいと思います」と、延期も容認する発言をした。
前日22日午後9時15分から、IOCのバッハ会長、コーツ調整委員長、森会長、武藤事務総長とテレビ会議を行ったことを明かした。冒頭での発言要旨は以下の通り。
「最初には、中止ということについては一切、議論はしない。ありえないということでありました。そして、これから、日本とIOCと両方の選ばれた人がメンバーが出されて、双方でこれから何ができるか、どのようにしていくかを議論していこうと。(中略)議論をしないわけにはいかないということでありました。そして、この議論、つまり両方で出したシナリオについて、よく精査をしたい。(中略)4週間の間にシナリオを作り上げたいと、こういうことでありました」
さらに「日本は本当に努力をして、国民の皆さんの努力もあって、落ち着いたことになっていると我々は見ておりますが、しかし予断はまだ許さない」とした上で、「いろんなところからいろんな声があるのに、それを踏まえて、最初の通りやるんだと言うほど、私どもは愚かではないというふうに申し上げておきたいと思います」と、延期も容認する意向を示した。
ただ、開催日程について「今の段階では我々は2020(年)に向いている」とも語っている。
すでに世界的には、延期への流れは決定的となっている。複数国の五輪委員会や世界陸連、米国の陸上、水泳連盟など発言力のある団体が相次いで延期を求めることを表明。日本時間23日に入り、カナダの五輪・パラリンピック委員会は、現状の7月24日開幕で進めば、東京にアスリートを派遣しないことを発表した。国単位によるボイコットの動きが表面化したのは初めて。カナダCBCによると、同委員会は「20年夏にカナダのチームを五輪・パラリンピックに派遣しないという決定を下した」とした。同委員会は安全の確保を理由に1年間の延期を求めている。
また、豪州の五輪委員会は、同国の選手達に「2021年夏の東京五輪に向けて準備するように」と、声明を発表。同国メディア・「10デイリー」は同委員会が仮に予定通りに開幕したとしても、東京に選手は派遣しないことを示唆したと報じた。豪州は東京五輪の調整委員長を務めるジョン・コーツIOC副会長のお膝元だけに、延期時期に大きな影響をもたらす可能性がある。