朝乃山に高砂親方が金言「階段は1個ずつ踏み越して上がる」

 大相撲春場所(22日千秋楽、エディオンアリーナ大阪)で新大関昇進を確実にした関脇朝乃山(26)=高砂=が23日、大阪市内の宿舎で一夜明け会見を行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で通常とは違う代表取材の形が取られた。

 大関としての相撲を問われると「いつもと変わらず、真っ向勝負」とキッパリ。

 今場所は両横綱に勝てなかった。白鵬には完敗、鶴竜には物言いの付く際どい勝負を差し違えで逆転負け。「まだまだ課題はある。頑張らないと上に上がれない」と語った。

 足りない部分を問われると、同席していた師匠の高砂親方(元大関朝潮)が割って入り、まな弟子の代わりに返答した。

 「それが分かったら苦労しない。本人は答えられないよ。俺でやっと答えられるくらい。積み重ねがあるから関脇、大関になれる。そこまでは俺も経験したけどその先は分からない。経験がないから想像でしか言えない。その段階からもう一つ経験を足していくのが大事。見ている方は簡単だけどやっている方はしんどい」。自身も未経験の最高位の地位は甘くはない。

 自身と並んだことに「頑張った」とねぎらった。そして、大関という地位の重さをまな弟子に説いた。「これからは負けることがニュースになる。地位の重みをこれから感じる。関脇でも感じるけど、その比じゃない」。

 自身は何度も大関挑戦に失敗したが、まな弟子は一発突破。「優勝もあっさりするし、大関とりもワンチャンス。俺とは持っているものが違う。それを生かすも殺すも自分次第。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』だよ。自分の行動もそう、もっと稽古して磨かないと。磨くことで上に行ける」とハッパをかけた。

 昨年夏場所で優勝した際は12勝3敗だった。上を狙うには、さらに白星が必要。「13、14の星を重ね優勝しないと。課題を1個ずつ踏み越して上がるのが大事。1個飛びで上がれば早いけど、階段は1個ずつ踏み越して上がる。その教えが分かっているから正攻法の相撲が取れる」と、今後も1歩ずつ成長していくことを望んだ。

 今年12月に師匠定年となる。それまでに弟子が自身を超える横綱になる可能性もある。「そうなればうれしいけど、そんなに多くは望まない」と、笑みを浮かべた。

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