五輪延期に安堵と困惑 国内外アスリートで温度差も「無意味な練習せずに済む」「2年なら諦めていた」
今年7月に開幕する予定だった56年ぶりの首都開催となる東京五輪は24日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にともない、来夏への延期が決まった。
前例のない五輪延期という事態に、アスリートたちも様々な反応を示した。現在、急速な感染拡大の最中にある欧米のアスリートを中心に海外選手からは安堵の声が広がった。現在、大会の中止や渡航制限や練習場の閉鎖でトレーニングも積めない状況にある選手が多く、陸上女子200メートル世界女王のディナ・アシャースミス(英国)は自身のツイッターで首相官邸のツイートを引用し、ハートマークと東京2021を綴った。体操男子のロンドン五輪銀メダリストのマルセル・グエン(ドイツ)は「もう庭で無意味な練習しなくて済む」と歓迎、リオ五輪自転車男子スプリントの金メダリスト、カラム・スキナー(英国)は「東京2021はパンデミック後の世界を祝福する素晴らしい機会になる」と、喜んだ。
一方でまだトレーニングは積める状態でもあり、7月の自国開催の五輪を目指して調整を続けてきた日本のアスリートからは困惑の声ももれた。現在34歳で東京五輪を集大成と位置付けてきた重量挙げのロンドン、リオ五輪メダリストの三宅宏実(いちご)は「1年はちょっと長い。体力的、年齢的に事の重みを感じる。試合の日に向けてカウントダウンして練習を積んできた。それに365日が加わると思うと厳しい」と率直に戸惑いを口にした。ただ、「2年延期なら諦めていた」と、1年であることに希望を見出していた。
新採用のスポーツクライミングですでに代表に内定している楢崎智亜、野口啓代(Team au)も「正直驚いた」(楢崎)、「簡単に整理がつかないというのが正直なところ」(野口)と驚きを口にした。