朝乃山、愛と正義の新大関誕生!堂々“ヒーロー”口上 師匠超えへ「新たな歴史作る」
日本相撲協会は25日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で夏場所(5月10日初日、両国国技館)番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇朝乃山(26)=高砂=の大関昇進を満場一致で決定した。大阪市内の高砂部屋で行われた伝達式では「相撲を愛し、正義を全うし、一生懸命、努力」と異例の“ヒーロー”口上を堂々と述べた。“愛と正義”の新大関は右四つに磨きをかけ、富山出身では太刀山に続く横綱を目指す。
真っすぐで優しい朝乃山の人柄が文言ににじみ出ていた。使者の出羽海理事(元幕内小城乃花)が伝達式で満場一致での大関推挙を告げ、さあ口上。
「謹んでお受けいたします。大関の名に恥じぬよう相撲を愛し、力士として正義を全うし、一生懸命努力します。本日は誠にありがとうございました」
少し声を震わせながらも、力強く、かむことなく言い切った。伝達式後は「緊張した。少しずつ実感が湧いてきた」と安どした。
異例の“愛と正義”の大関だ。富山商の校歌に「愛と正義の理想追い-」とあり、同校の教育目標になっている。「校訓を入れたくて分けて使った」と母校愛があふれた。
「一生懸命」は中学から胸に刻み、今もサインに書く。入学最初はハンドボール部に入部し、相撲を一度はやめた。「中学は途中から相撲部に入った。そこから何事にも『一生懸命』取り組むことを決意した」と自身の支えにしてきた。
師匠の高砂親方(元大関朝潮)も37年前、春場所で昇進を決め、同じ大阪の宿舎「久成寺」で使者を迎え「一生懸命頑張ります」と口上を述べた。部屋の先輩、元横綱朝青龍は大関、横綱昇進時ともに「一生懸命」の文言を使った。意図してないが部屋の“伝統”を継承した形になった。
師匠の定年が12月。それまでに師匠を超えることが恩返し。「期待に応えたい。(高砂部屋の)新たな歴史を作る」と宣言した。
富山出身では横綱太刀山以来、111年ぶり新大関。「太刀山さんに少しでも近づけるように」とキッパリ。
他界した2人の恩師、富山商・浦山英樹監督、近大・伊東勝人監督の遺影が掲げられ、伝達式を見守った。「もう一つ上の番付がある」と、次は横綱昇進を天国に約束した。
今も肌身離さぬ浦山先生の遺書にはこうある。「富山のスーパースターになりなさい」。その言葉を地で行く令和の新ヒーローだ。