Bリーグ広島が悲願のB1昇格へ 朝山主将「日本一へ向けてスタートラインに立てた」
バスケットボールBリーグは新型コロナウイルス感染拡大の影響で今季残りの全試合を中止した。昇格プレーオフも中止となったが、B2西地区に所属する広島は勝率8割5分1厘でB1昇格対象となる上位2チームに入った。
広島は残り13試合を消化できずにシーズンを終えることになった。堀田剛司監督(42)は「Bリーグは苦渋の決断だったと思うが、選手の健康を守ってもらい感謝している」としながらも、「チームは10連勝と波に乗っている中での打ち切り。最後までやりたかったし、昇格プレーオフでも勝ち切る自信はあった」と戸惑いの表情をのぞかせた。
Bリーグ発足4年目。広島の強さは際立っていた。40勝7敗という圧倒的な強さで初の地区優勝も飾った。シーズン前にはB1昇格を目指して大型補強を敢行。新戦力が期待通りの働きを見せた。
島根から移籍のグレゴリー・エチェニケ(29)は208センチ、120キロの巨体を生かしてゴール下で存在感を発揮し、1試合平均21・2得点をマーク。トーマス・ケネディ(32)も外国人枠の関係で出場機会が限られる中、11月18日の山形戦では43得点、11リバウンドの大活躍。昨季群馬で得点王とリーグ最優秀選手に輝いた実力を随所で披露した。
熊本から加入の古野拓巳(27)は左手骨折で約1カ月半の戦線離脱もあったが、司令塔としてチームをけん引した。「広島に来てポイントガードの難しさだったり、バスケットの難しさを感じたが、いろんな人から吸収して新しい自分のスタイルを見いだせた」と充実感をにじませた。
2013年のクラブ創設時からのメンバーである田中成也(28)は3点シュートの成功率42・8パーセントでタイトルを獲得。朝山正悟主将(38)は「一人一人が同じ方向を見て戦い続けられたことがこの結果につながった」と振り返り、「クラブ創設からここまで多くの人が関わり、いろんなことがあった。その歴史の積み重ねの上に今のチームがあると思う」と強調した。
中地区の信州とともにB1昇格の権利を勝ち取り、24日に行われるB1ライセンス交付の審査を経て正式に昇格が決まるが、選手は早くも新たなステージで戦う来季へ向けて思いをはせる。
B2からの昇格チームは毎年のように苦戦を強いられ、降格の憂き目に遭うケースも多い。堀田監督は「B1は今よりも選手のレベルが格段に上がるので厳しい戦いになる」と覚悟しつつも、「我々はB2優勝、B1昇格のその上を目指してチーム作りをしてきた。上がってすぐにB1で優勝するというところを目指している」と高みを見据える。
広島移籍前はトップリーグでプレーしていた朝山主将は「自分にとっては久しぶりの舞台。再びプレーできる喜びを感じている。チームが目指す日本一へ向けてやっとスタートラインに立てたという思いもある」と話し、田中は「B1は大学時代に一緒にプレーした選手も多い。やっと同じ舞台に立てるので、そこで結果を出して見返したい。それが僕の来季へ向けてのモチベーション」と意気込む。
ケネディは「B1はすべての面でレベルが上がるし、ファンの注目度も高い。日々の練習から準備していきたい。日本国籍も一日も早く取れるように言葉の習得も含めて努力する」。古野は「B1は日本代表のスーパースターがいっぱいいる。4年間B2で下積みしてきたので思う存分暴れたい」と手ぐすねをひいた。
【過去3季の広島】
◆16-17シーズン 46勝14敗で西地区2位となり、ワイルドカード(各地区1位を除いた最高勝率)で昇格プレーオフに進んだが、B1昇格は果たせず。
◆17-18シーズン 成績不振により開幕2カ月でアンドリセビッチ監督(米国)が解任され、朝山主将が兼任監督を務める。33勝27敗で西地区3位に終わり、昇格プレーオフに進めず。
◆18-19シーズン 開幕8連勝を飾るなど前半戦は快進撃を見せたが、後半戦で大失速。32勝28敗で西地区3位に終わり、2年連続で昇格プレーオフに進めなかった