鈴木長官「世界中のアスリート一致団結を」 選手の不安に理解も、生命の安全を呼びかけ

 鈴木大地スポーツ庁長官(53)が8日、都内で定例会見を行った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、7日の政府による緊急事態宣言の発令を受け、多くのアスリートの強化拠点となる東京都北区の「味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)」と「国立スポーツ科学センター(JISS)」が5月6日まで使用停止となった。1年延期となった来夏の東京五輪・パラリンピックなどへの影響も懸念される中、今は生命の安全を第一に、終息へ向けた一致団結の重要性を強調した。

 スポーツ庁トップの切なる願いだった。緊急事態宣言を受け、不要不急の外出自粛が要請された。それに伴い、アスリートにもトレーニングの種類によっては判断への迷いが生ずる可能性がある。鈴木長官は「感染のリスクがない環境での運動とか、ジョギング、散歩のような活動は問題ないと考えている」との認識を示した。

 1988年ソウル五輪競泳男子100メートル背泳ぎ金メダリストでもある鈴木長官。アスリートは強化を続けていかなくてはいけない一方で、例えば屋外で体を動かすことには世間の目を気にしてしまう人がいることも考えられる。このことを問われる、選手の心中をおもんぱかった。

 「今の状況でそういう風な思いを持つのもわかるな、という気がする。『五輪・パラリンピックへ向けてどうするのか?』という選手の不安はものすごくわかるが、まずはこういう状況なので、コロナに対して全国民、世界中のアスリートを含めて一致団結して、終息に向けて動き出すことが一番」。今は一丸への協力が不可欠と、声を大にして訴えた。

 NTCとJISSが使用停止となったことに「生命の安全を第一に考えていくべきだろうと判断した」と説明した。もっとも、栄養面などのサポートや医学面などの相談については、ウェブや電話、メール等を通じて、可能な限りの支援をしていくと約束した。

 「まずは生命、健康を守ることを優先すべきだと思っている」。新型コロナウイルスの感染拡大防止、そして終息へ、揺るぎない決意を口にした。

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