ラグビー協会・森会長インタビュー(3)23年フランス大会、若手日本人選手に期待
昨年のラグビーW杯日本大会で史上初めて8強進出を果たした日本代表がデイリースポーツ制定「2019年度ホワイトベア・スポーツ賞特別賞」を受賞した。ラグビー界を代表して、日本協会の森重隆会長(68)がインタビューに応じた。第3回のテーマは23年フランスW杯に向けて。
-昨年のW杯で日本代表の強化につながったサンウルブズが来年からスーパーラグビーから除外される。
「サンウルブズは形を変えていくと思うんですよ。そのときがチャンスだと思うんですけど。実際に全部諦めたかというと、そんなことはなくって。今度の日本の新リーグの、ひょっとしたらプロ化になるかもしれないですけど、サンウルブズがそこに入ってくるかも分からないし、柔軟に考えていかないといけない。日本代表の強化にサンウルブズがあったからこそああいう風(W杯8強)になったというのは事実ですからね。間違いなく」
-23年のW杯フランス大会に向けて、どのような強化方針を考えているか。サンウルブズに変わるようなものは。
「本来であればトップリーグ(TL)がそこまでにならないといけないんですけど、そのレベルにない。そこをどうするか。いまTLと強化がつながっていないんですよね。TLではいい選手を集めているだけで、チームとしての強化になっていない」
(続けて)
「今回W杯でいい成績を収められたのは、1年のうちに二百何十日寝泊まりして、寝食ともにしてやったってところで、初めて“ONE TEAM”になったわけで、そういう作り方でないと日本というのはダメだと思いますね。夜寝ていて、だれかが歩いてきて“あいつだな”って分かるくらいじゃないと」
-足音で?。
「足音で分かるくらいのチームにならないと日本は勝てない」
-そのためのシステム作りが必要。
「それが難しいんですよ。今のところ絶対にやらないといけないのは寝食を共にするということ。それじゃないと日本はできないというのが僕の考えですね」
-15年大会の時はそこまではやらなかった。エディー・ジョーンズ氏とジェイミー・ジョセフ氏。ヘッドコーチによって違いが出る。
「エディーの時はチームがまとまったというのがものすごくあった。エディーがやるわけじゃない。オレたちがやるんだ、というのがね。いろんな形の監督がいる。今回はジェイミーがマッチした」
-最初はジェイミーと選手間に溝はあったが、1年前の夏に腹を割って話し合って1つになれたと聞いたが。
「なるほどね。それとね、僕は結果論ですけど藤井(雄一郎=15人制日本代表強化委員長)の力量が大きかったと思う。藤井と選手たち、藤井とジェイミーと、というところがものすごくコミュニケーションがとれた。そこをしっかりしないとダメだなと。とにかくいいチームだったですね。南アフリカ戦で負けたときは、“このチーム、終わりか”というのがあったですから」
-次回は日本人選手の活躍ももっとみたい。
「例えばフランスのSO(ロマン・ヌタマック)が20歳。イングランドのフランカー(トム・カリー)が21歳。そういう選手が日本にいない。4年後にどうやって作っていくか、急にはできないですから。そういうところのシステムというか代表強化面の確立をしないといけない」
-若年層の底上げですね。
「そういう意味ではサンウルブズに(CTB)中野(将伍)、(SH)斎藤(直人=ともに早大-サントリー)が入ったりしてますけど、そういう連中が23年のフランス大会まで生き残ってくれるっていうか成長してくれるかですね」