ラグビー松島幸太朗「今できることをポジティブに」 コロナ禍での心境語る
ポジティブに、今できることを淡々と-。2019年のラグビーW杯日本代表で、来季はフランス1部リーグ(トップ14)のクレルモンに移籍するトップリーグ(TL)、サントリー所属のWTB/FB松島幸太朗(27)がこのたびインタビューに応じた。新型コロナウイルス禍で試合はもちろん、練習もできなくなっている現状も「限られたトレーニングしかできないが、酷使してきた体を休める時」などと前向きに受け止めていることを明かした。取材は昨今の社会情勢から質問事項を書面で提出、松島側も書面で回答する形で行われた。
無念のシーズン打ち切りだったろう。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、TLは6節終了時点で残る全日程の中止が決定。自然と、5月に開催予定だった日本選手権も消滅した。フランスリーグ移籍を控えた松島にとって国内で有終を飾るシーズンになるはずだったが…。
「7年在籍したサントリーでのラストシーズンだし、特別な思いもあったけれど『これはしょうがないな』としかいえない。(TLでは2敗して優勝は難しくなっていたが)日本選手権では優勝を奪還するというチームの目標もあったので(日本選手権も)中止となった時は残念だったけれど、世の中の情勢を見ていても、中止はある程度覚悟していました」
「この状況は僕たちで変えられるものでもない。受け止めるしかない。受け止めて、どう考えて行動するかを一人で考える時間がありました。経験したことのないことではありますが、ポジティブに行動していこうと思っています」
フランス側の受け入れ態勢、準備はどうなっているか。
「コロナの終息時期は分からないので、渡仏する時期などもまだ確定しないが、どうなっても臨機応変に対応しないといけない。引っ越しやビザ(査証)の準備など、けっこう時間のかかることもあるので、決まったらなるべくスムーズに動けるように準備は進めておこうと思っています」
桐蔭学園高(神奈川)卒業後、18歳で出生地・南アフリカへ渡り、国内ではできない経験を積んだ。それは先の見えない現在の状況下でも落ち着いて行動できることにつながっているのだろうか。
「当時の状況と今の状況は違いすぎるので役立つとかはないですね。今は現実を受け入れるしかないと思っています。僕だけではなく、世界中が大変な時。今は感染拡大、まん延を一人一人が意識して行動することが大事だと思います」
リーグ中断後はどのように過ごしているのだろうか。
「外出自粛などもあり、今は制限された状態なので限られたトレーニングしかできていません。でも、それもポジティブに捉えて、今まで酷使してきた体を完全に休めることができている状態かなと思います」
ラグビーを見られないファン、練習も試合もできない小中高校生へのメッセージを、というリクエストにも快く応えてくれた。
「これまで当たり前にできていた試合やトレーニングが急にできなくなって、僕自身も残念ですが、これはどうしようもないことなので、その中で今自分に必要なことやできることをやっていきましょう。こういった時期に積み重ねたことが後で振り返った時に役立つことがあると思います。特に、学生生活というのは限られた時間になると思うので、再開したときにスタートダッシュできるよう準備しておければベストですね」
未曽有の事態にも動揺せず、ポジティブに、できる範囲の準備に全力を尽くして、再開の日を待とう-。松島のメッセージは、若きラグビー選手やファンだけでなく、多くの人に向けて発せられたようにも映った。