IOCサイト「首相が費用負担同意」を削除 追加費用「共同で議論し続ける」に修正
国際オリンピック委員会(IOC)は21日、3000億円ともいわれる追加の大会経費について、20日に公式サイトで発表した「日本の安倍晋三首相が日本が2020年の既存の合意の条件の下で行ったであろう費用を引き続き負担することに同意した」という見解を削除した。
その上で「日本政府は成功したゲームを主催する責任を果たす準備ができていると繰り返し述べています。IOCと組織委を含む日本側は延期によって引き起こされるそれぞれの影響を共同で評価し、共同で議論し続けます」という見解に修正した。
20日の発表を受け、日本側が反発。大会組織委員会は「コストを含む延期による影響については、先週のエグゼクティブプロジェクトレビューにおいて、これが双方共通の課題であることを確認し、今後共同でそれらすべてについて評価し、議論していくことで合意されたと認識しています。3月24日に安倍総理とバッハ会長との電話会談では、費用負担について取り上げられた事実はなく、双方合意した内容を超えて、このような形で総理の名前が引用されたことは適切ではないと考えています。そのため、該当箇所については削除するよう申し入れています。いずれにせよ、引き続きこの共通の課題について、IOCと日本側共同で評価し議論を進めて参ります」と、コメントを発表し、削除要請していることを明かしていた。
また、日本政府も“火消し”に奔走し、橋本五輪相はこの日、午前の会見で「どう翻訳されたかわからないが、驚いた」とし、「(政府として)合意した事実はない」と、否定。発表について「事実でないことをこのままホームページで掲載されるということはない」と、不快感を示していた。
IOCは20日の更新で、五輪・パラリンピックについてQ&A方式による見解を発表。延期にともなう3000億円ともいわれる追加経費について、「安倍晋三首相が日本が2020年の既存の合意の条件の下で行ったであろう費用を引き続き負担することに同意した」と発表。「IOCも分担の責任を負う」としたが、その規模については「数億ドル(数百億円)」と、日本側に多くの負担を強いる姿勢を鮮明にしていた。