フェンシング男子エペで、元世界ランク１位の見延和靖（３２）＝ネクサス＝が２８日、ビデオ通話アプリ「Ｚｏｏｍ」を介した合同取材に応じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪の１年延期が決定して以降、初の取材対応となったが「当初の予定通り個人、団体ともに金メダルを取る。今はその思いしかない」と力強く宣言した。

　３月２４日、「ある程度覚悟はしていた」という東京五輪延期が現実となった。３月中旬に海外遠征から帰国していた見延。五輪中止という最悪の想定も頭にはあったという。

　「正直、いろいろ考えたし、悩んだ。いろんな葛藤があった」。それでも周囲からの変わらぬ期待の声に「当初の予定通り個人、団体ともに金メダルを取る。今はその思いしかない」と切り替えた。

　自宅待機が続いているが、剣を持つ感覚を忘れないよう、自宅に的を作るなど工夫している。また、数年前から剣の感覚と重ねるために取り組んできた、１００円ショップのマジックハンドを使って周囲の物を取るトレーニングも継続中。「マジックハンドの技術は相当向上したと思う」と笑った。

　アスリートとしての最終目標に「世界最強のフェンサー」を掲げる。「東京五輪はもちろん、その先のパリ、ロサンゼルスまで視野に入っている」。４０歳でも現役続行をにおわせつつ「次のパリまで３年間、少し難しい作業になるのかな」。“４年計画”が通常運転だけに、普段とは違った２４年パリ五輪までの道のりにも思いを巡らせる。そんな心の余裕ものぞかせた。

　だからこそ、東京五輪の１年延期は「僕みたいなベテランには追い風。フェンシングは経験がものを言う種目」と言う。まずは団体の出場枠を勝ち取ることが目標。全ての経験をプラスに、１年後の大舞台へと向かう。