東京五輪、21年が開催の“デッドライン”確実 IOCバッハ会長が中止に言及
国際オリンピック委員会(IOC)のトマス・バッハ会長(66)が20日、英BBCのインタビューの中で、新型コロナウイルスの影響で来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、21年の開催が無理ならば中止とする見通しを示した。同会長が中止について言及するのは初めて。すでに東京五輪組織委員会の森喜朗会長(82)も再延期はないとの認識を示しており、来夏が開催の“デッドライン”となることは確実となった。
ついにIOCのトップからも「東京五輪中止」の可能性が示された。バッハ会長はBBCのインタビューの中で、来夏に延期された五輪について「バックアップの計画はない」とした上で、その理由について「組織委員会の3000人から5000人を永久に雇用することはできない」、「毎年世界のスポーツカレンダーを変更することはできない。アスリートに不安を抱かせることはできない」と説明した。また、延期を決める過程の中で、日本の安倍晋三首相が来夏の開催が「最後の選択肢」と強調していたことを明かした。
バッハ会長自身が中止について言及するのはこれが初めて。すでに組織委の森会長は「再延期はない」と明言しており、統括と運営の両トップの認識が一致していることから、来夏の開催がラストチャンスとなることは確実となった。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本を含め多くの国で一時的なピークは過ぎたものの、秋から冬にかけた第2波、第3波の懸念は消えない。来夏開催の場合でも、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保など規制が必要となる可能性もある。ただ、バッハ会長は、無観客での開催については「それは私たちの望むものではない」と、否定的な見解を示した。
また、開催条件としてワクチン開発が条件になるという指摘については「世界保健機関(WHO)の助言に従う。誰も1年2カ月後のことは分からない」と明言を避けた。