鉄棒勝負の内村、年100本注射も肩完治せず決断 こだわりに勝った東京への思い
体操男子個人総合2連覇王者の内村航平(31)=リンガーハット=が来夏開催予定の東京五輪の団体総合、個人総合での代表入りを断念し、15年に世界王者にもなった得意の鉄棒で種目別代表入りを目指すことが26日、関係者への取材で分かった。悲願の団体制覇と個人総合2連覇を成し遂げた16年リオデジャネイロ五輪以降、度重なる怪我に苦しんできた31歳が、自国開催の夢舞台へ、大勝負に打って出た。
内村は昨年、両肩痛が響き、全日本選手権で予選落ち。世界選手権代表から外れ、08年の北京五輪から続いていた世界大会連続代表入りが11年で途絶えた。その後、肩の治療に努め、1年で100本を超える注射を打つなどしてきたが、痛みは完全には消えず、負担の大きいつり輪などは十分に練習できない状態が続いた。1年後延期を受けて、代表選考基準は白紙となっているが、個人枠での出場を目指すとみられる。五輪で団体と個人総合を戦うには、代表選考会で全6種目をこなして上位に入る必要があり、現在の状態では厳しいと判断した。
「6種目を美しくこなしてこその体操」、「団体金メダルしか考えていない」と、こだわりが強かった団体と個人総合を諦めても、東京五輪への思いが勝った。招致が決まった時、「運命」と語ったTOKYOの舞台へ、“体操の華”と呼ばれるただ1種目に、全てを懸ける。