ミズノ薄底!ナイキ厚底崩す 東京五輪“延長戦”長距離界シューズ戦争に新展開
スポーツ用品大手のミズノは1日、高反発の新素材「ミズノエナジー」を用いた長距離ランナー向けのランニングシューズ「ウエーブデュエルネオ」の発表会見をオンラインで行った。7月中旬から販売する。20年1月に箱根駅伝の10区で創価大・嶋津雄大が区間新記録をマークした際に履いていた、長距離界を席巻するナイキの厚底シューズに一矢報いたプロトタイプの完成版。靴底の厚さは従来モデルと変わらぬ“薄底”で、来夏に延期された東京五輪に向けて、反撃に打って出る。
国内メーカーの雄は、“薄底”で反撃に出る。今年の箱根駅伝10区で創価大・嶋津が区間新記録を打ち立て、話題となった白いプロトタイプシューズの完成版。同シューズには開発担当者が「エネルギーロスが少なく、金属のバネに近い挙動」と話す従来よりも反発性が35%向上した新素材「ミズノエナジーライト」が使用されており、ソールの厚さは従来のものと同じ、前足部1・4センチ、かかと部2・3センチのままだ。
カーボンファイバープレートが入り、最新モデルでは厚さが最大3・95センチとなるナイキの“厚底”は、シューズに走るフォームを適応させる必要があるが、「走り方のフォームを変えず、スピードに乗った走りをサポートする」と、“違い”を強調した。
この日、同シューズを履いてランニングを披露したリオデジャネイロ五輪男子400メートルリレー銀メダリストの飯塚翔太(ミズノ)は「最大の特徴は反発力。厚さがないので感覚を繊細に感じられる」と話し、会見に出席した同社のブランドアンバサダーを務めるスポーツキャスターの松岡修造は「これを履いたら、他のは履けない」と、熱くピーアールした。
新型コロナウイルスの感染拡大で1年間の延期が決まった東京五輪。これによりナイキの1強状態となっていた陸上長距離のシューズ開発競争は、し烈な“延長戦”へと突入している。国内メーカーではアシックスが6月にカーボンプレートを搭載した「メタレーサーTOKYO」を発売。他メーカーも続々と新作を投入してきており、英「タイムズ」紙は「東京五輪遅延により、ナイキのライバルが独自の『ヴェイパーフライ(ナイキの厚底)』開発をできるようになる」と、ナイキの優位性が消える可能性を報じている。
ミズノの水野明人社長は「戦える反発の良いシューズになったと思っている。(販売数は、シリーズ合計で)100万足以上はいきたい」と、反転攻勢を宣言。果たして近年立ちはだかってきたナイキの“厚い”牙城は崩れるか。