バッハ会長、東京五輪「複数のシナリオ検討」 無観客も再延期も明確に否定せず
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66)は15日、オンラインでの理事会後に電話会見した。新型コロナウイルスの影響で来夏に延期され、簡素化が決定した東京五輪について「来年の開催に完全にコミットしている」と強調し、その上で「複数のシナリオを検討している」と明かした。世界的に収束の見通しが立たず開催への不安が広がっているが、無観客での開催については「明らかに望んでいない」と、否定的な見解を示した。
夢の祭典はどうなってしまうのか。いまだ行方は見えてこない。
バッハ会長は会見で、新型コロナウイルスの影響で来夏に1年延期となった東京五輪の開催へ「1年後のウイルスの状況が分からない中、さまざまなシナリオを検討している」と表明。無観客開催については「明らかに望んではいない」との見解を示したが、可能性は否定しなかった。
「再延期はないか?」との問いにも「日本のパートナーや友人と来年に五輪を祝うべく一丸となっている。来年7、8月に東京五輪を開催するために全力を尽くす」と、明確に否定はしなかった。
同会長は「参加者の安全が最優先だ。引き続き世界保健機関(WHO)のアドバイスに従っていく」と世界で広がる感染状況を注視する考えを強調。理事会では、東京五輪の準備状況を監督するIOC調整委員会のコーツ委員長が経過を報告。IOCと大会組織委員会は合同の作業部会で会場確保や経費削減につながる大会簡素化に取り組んでおり、バッハ会長は「順調に進んでいる」と評価した。
一方でIOCは22年にセネガルの首都ダカールで開催予定だった第4回夏季ユース五輪を26年に延期する方針を決めた。新型コロナウイルスの感染が拡大する中で同国から提案があったとし、東京五輪の延期に伴って22年北京冬季五輪など主要大会が続くことを理由の一つに挙げた。東京五輪への影響については「ダカールと東京2020は別問題」と影響は否定した。