遠藤が勇気の金星…九州豪雨被災の友人へ 「元気届けられたんじゃないかと」

 「大相撲7月場所・初日」(19日、両国国技館)

 前頭筆頭の遠藤(29)=追手風=が横綱鶴竜(陸奥)を腰砕けで破り、自身7個目の金星を挙げた。7月の豪雨で被災した熊本県在住の友人へ元気を届ける1勝で、観客から大きな拍手を浴びた。2日目は新大関朝乃山(高砂)撃破を狙う。横綱白鵬(宮城野)は小結隠岐の海(八角)を肩すかしで退け白星発進。かど番の大関貴景勝(千賀ノ浦)も豊山(時津風)を押し出して初日を出した。

 被災地の友人へ届け-。遠藤が熱い思いを土俵にぶつけた。立ち合い頭で当たると、鶴竜は出し投げを打ちながら右足で裾払い。それをよく見て左足を引いて空転させると、横綱はバランスを崩して土俵に落ちた。ラッキーな勝ちだったが、白星は白星。「(勝って)はい、よかったです」と好発進を喜んだ。

 価値ある1勝だった。熊本県芦北町に住む大学時代の友人が豪雨災害で被災。場所前に届いたメールには「場所頑張って」と記してあった。それを見て「すごい被害に遭った。少しでも元気を届ける相撲を取りたい」と分厚い胸の下で誓って臨んだ土俵だった。

 お客さんの存在が背中を押してくれた。飛まつの飛散を防ぐために声援は禁じられていたが、大きな拍手を浴びた。「少し違和感はありましたけど、お客さんの拍手が力になった。ありがたいこと。横綱に勝って(被災地に)元気を届けられたんじゃないかと思います」。普段は寡黙な男が珍しく冗舌になった。

 新型コロナウイルス感染拡大の中、観客を入れて開催された歴史に残る場所。その初日に横綱から金星を挙げて白星発進を決めた。貴景勝、朝乃山と自分よりも若い力士が番付を駆け上がっていくが、マイペースを崩すつもりはない。「(今場所も)1日でも多く自分の相撲を取れるように頑張っていきたい」。いつものように笑みはない。それでも心の優しさがしみじみと伝わってくる白星だった。

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