朝乃山が新大関1勝!「愛と正義」胸に「土俵で勇気と感動を」半年ぶり観客から大拍手

 隆の勝(左)を送り出しで下す朝乃山(撮影・伊藤笙子)
2枚

 「大相撲7月場所・初日」(19日、両国国技館)

 新大関朝乃山(26)=高砂=が平幕隆の勝(千賀ノ浦)を送り出し、4カ月、待ちに待った大関デビュー戦で白星を飾った。新型コロナウイルスによる自粛期間で磨き上げた左上手のパワーで一蹴。感染予防のため声援は自粛となる中、半年ぶりに入った約2000人の観客から大拍手の祝福を受けた。2006年夏場所の白鵬以来、昭和以降7人目の新大関Vを目指して、前例のないソーシャルディスタンス場所を盛り上げる。

 朝乃山は大関1勝の喜びをリモート取材でパソコン画面越しに語った。「お客さんがいる、いないは全然違う。緊張したけど自分の相撲を取り切ることだけ考えた」。土俵上で半年ぶりに聞く拍手、目にする応援タオルが本当にうれしかった。

 春場所後の昇進伝達式から116日。「ファンが一番、待ち望んでいる」と言ったお披露目の舞台。その思いを土俵で全開にした。

 気鋭の隆の勝の当たりをガツンと受け止め、はね返す。すかさず左上手を取ると、ぶん回した。相手を半身にして楽々と送り出した。3秒7、真っ向勝負の大関相撲だった。

 基礎運動で鍛え抜いた下半身。そして必勝型の右四つを磨き上げた。左上手をどうすれば早く取れるのか、引けない時にはどうするのか-。教材は過去の名力士たち。大横綱の大鵬、千代の富士をはじめ、師匠の高砂親方(元大関朝潮)、大関北天佑の映像を時間があれば何度も繰り返し見て、イメージした。

 「(隆の勝に)押されたけど相手をよく見て、左上手を取れた時に自分から攻めることができた。(左上手は)自然に取れたので稽古をしてきたことができたんじゃないかと思う」。進化を見せつけた圧巻星となった。

 場所前は出稽古が禁止された。支度部屋ではマスクを着用し準備運動、隣の関取とはアクリル板で仕切られる。異例の場所にも「みんな同じ条件。早く慣れないと」と、黙々と大関の責務を果たすことしか頭にない。

 伝達式の口上で「愛と正義」を述べた26歳。「新型コロナ、熊本などすごく(豪雨)被害に遭われた人にも土俵で勇気と感動を与えるような相撲を取りたい」と使命に燃えた。

 大関初の土俵入りは、新しい黄金の昇り龍の化粧まわし。横綱までさらに出世を駆け上がる周囲の期待を背負う。昭和以降、新大関Vを果たした6人は全員が白星発進しており、まずノルマはクリアした。「まだ14日ある。きょう1日で終わったわけじゃない」。コロナ禍の日本に相撲が朝乃山が元気を届ける。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス