新型コロナウイルスの影響により、来夏に延期された東京五輪まで、２３日であと１年となり、メインスタジアムの国立競技場でのイベント「一年後へ。一歩進む。～＋１メッセージ～ＴＯＫＹＯ２０２０」が行われた。白血病からの復帰を目指す競泳の池江璃花子（２０）＝ルネサンス＝が出演し、１年後に持ち越された東京五輪へのメッセージを発信した。その後、クリエイティブ・ディレクターの佐々木宏氏による動画映像も流された。

　池江とスタッフとの打ち合わせはほぼリモートで行い、ＶＴＲ撮影は一度のみ、短時間で行われた。この日のイベントでも、池江とスタッフの導線は分け、接するスタッフは最低限にとどめているという。高性能マスク＆フェースシールドで対応、報道陣は検温マスクや、消毒チェックシートの提出を義務化するなど、新型コロナウイルス感染症対策を行ったとしている。

　制作担当者である佐々木宏氏は、池江へのオファーについて、「２０２０を諦めて、でももう一度五輪に向かって頑張ろうというアスリートの一人として、強いメッセージを発する適役をやって頂ける方だと思い、まだ退院して間もない大変な時期だと思うが、池江さんにアスリートの１人としてメッセージを発してほしいとお願いし、引き受けて頂きました」と説明した。「池江さんの元気になった姿を見ると私も希望を持てたし、同じようにアスリートの方や五輪、パラリンピックを楽しみにしていた方たちが、もう一度その時の思いを思い起こして頂ける、何かきっかけになるものが、１年前にメッセージを発することが出来ればと。ささやかだけど、心に届く１人のアスリートからのメッセージをと」と、込めた思いについても語った。

　当初は新聞広告や公式サイトでのショートムービー掲載などを予定していたが、６月初めに、メッセージ発信を検討。開会式の開始時刻にあわせて午後８時からイベントが行われることになった。池江が出演した映像は「美しく、凛として、強いアスリート。思いがストレートに伝わるのが一番と思った。なので演出はせず、映像を淡々とつなぐ形にした」（佐々木氏）と、シンプルな内容になった。白い衣装はデザイン性が前に出過ぎないようにイメージし、スニーカーを履いていることには、「スポーツする方にフィットするデザインを」と依頼した。