照ノ富士、師匠から根性注入“ウン”つかんだ 師弟の勝負魂につながる5年前の事件

 「大相撲7月場所・千秋楽」(2日、両国国技館)

 単独トップだった元大関の平幕照ノ富士が関脇御嶽海を寄り切って13勝2敗とし、2015年夏場所以来2度目の優勝を果たした。2度目の殊勲賞と初の技能賞も獲得した。

 師弟の勝負魂につながる“事件”が15年春場所にあった。当時、新関脇で快進撃していた照ノ富士は11日目の魁聖戦で取組前、急激に便意をもよおし、なすすべなく土俵を割った。取組後、「腹に力を入れたら出ちゃうだろ」と逆ギレした。

 師匠・伊勢ケ浜親方からは「出せばいいんだよ。俺は出したことがある。出しても勝つ方がいいだろ。根性ねえな」と信じられない!?説教。「根性の問題じゃないだろ。無理だろ…」と照ノ富士は師匠に脱帽した。

 大関から陥落し、何度も師匠に引退を申し入れたが、師匠から「まずは体を治せ」と言われ、踏みとどまった。プライドもずたずただったが、師匠譲りの「根性」で歯を食いしばった。今場所、照ノ富士は何度も「親方の言う通りにやってきて良かった」と口にし、感謝し続けた。

 「出しても勝て」という師弟の原点。大関のまま引退した豪栄道の潔さも男気なら、泥くさく、はい上がった姿も胸を打つ。(デイリースポーツ大相撲担当キャップ・荒木 司)

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