クライミング 野口啓代が圧巻の2完登で予選首位通過「落ち着いて登れている」
「スポーツクライミング リード・ジャパンカップ(10日、岩手県営運動公園)」
女子予選が行われ、来夏に延期された東京五輪代表に内定している野口啓代(31)=TEAM au=が唯一2ルートとも完登し、首位で11日の準決勝進出を決めた。五輪代表候補の野中生萌(23)=XFLAG=と昨年の世界選手権銅メダリストの森秋彩(16)=茨城県連盟=が2位。史上初のジャパンカップ3冠の懸かる伊藤ふたば(18)=TEAM au=は15位で通過した。男子準決勝は五輪代表に決まっている楢崎智亜(24)=TEAM au=が5位で、決勝進出を決めた。
久々となる勝負の壁を、楽しみながら登り切った。野口は最初にBルートを感覚を呼び戻しながら力強く完登すると、最終競技者となったAルートも持ち前のしなやかさを生かした登りでクリア。出場選手中唯一の2完登で貫録を見せつけた。
「1本目はそんなに上手くいかず、登りが硬かったけど、2本目はリラックスして登れた。明日に繋がる」。
今年5月、茨城県内の自宅に、リードの壁が完成。すでに設置されていたボルダリング、スピードと合わせて、3種目すべての壁が揃い、コロナ禍でも十分な練習を積んできた。これまで課題だったリードでは、壁の途中で休憩し、回復する「レスト」において呼吸法などの改善に取り組んできたが「ゆっくりとリラックスしながら登ることができた。前より落ち着いて登れている」と、成果を口にした。
引退の花道と決めていた東京五輪が来夏に延期となったが、「いただいた1年間でどれだけ自分が強くなれるか」と、モチベーションは落ちていない。「前より成長しているところをみてもらいたい」。連覇で、夢への最高のリスタートを切る。