クライミング・野口啓代が貫禄のトップ通過 自宅に競技用の壁、コロナ禍も練習
「スポーツクライミング・リード・ジャパンカップ・第2日」(10日、岩手県営運動公園)
女子予選が行われ、来夏に延期された東京五輪代表に内定している野口啓代(31)=TEAM au=が唯一2ルートとも完登し、首位で11日の準決勝進出を決めた。
久々となる勝負の壁を、楽しみながら登り切った。野口は最初にBルートを感覚を呼び戻しながら力強く完登すると、最終競技者となったAルートも持ち前のしなやかさを生かした登りでクリア。出場選手中唯一の2完登で貫禄を見せつけた。
「1本目はそんなにうまくいかず、登りが硬かったけど、2本目はリラックスして登れた。明日につながる」
20年5月、茨城県内の自宅にリードの壁が完成。すでに設置されていたボルダリング、スピードと合わせて、3種目すべての壁がそろい、コロナ禍でも十分な練習を積んできた。これまで課題だったリードでは、壁の途中で休憩し、回復する「レスト」で、呼吸法などの改善に取り組んできたが「ゆっくりとリラックスしながら登ることができた。前より落ち着いて登れている」と成果を口にした。
引退の花道と決めていた東京五輪が来夏に延期となったが、「いただいた1年間でどれだけ自分が強くなれるか」と、モチベーションは落ちていない。自宅に3つの壁がそろったことで、東京五輪の競技時間に合わせて3種目を行うシミュレーションも始めている31歳。「前より成長しているところをみてもらいたい」。連覇で、夢への最高のリスタートを切る。