男子テニスの錦織圭（３０）＝日清食品＝が１６日、新型コロナウイルスに感染し、男子ツアー再開初戦のウエスタン・アンド・サザン・オープン（２２日開幕・ニューヨーク）を欠場すると公式アプリで公表した。昨年１０月に右肘の手術を受け、約１年ぶりのツアー復帰戦だった。２１日に再検査の予定で、四大大会の全米オープン（３１日開幕・ニューヨーク）出場に黄信号がともった。

　錦織の復帰ロードに狂いが生じた。約１年ぶりの大会出場に向け、練習拠点のフロリダ州からニューヨークに出発する前日に、新型コロナウイルス感染が判明。自身の公式アプリで「今週金曜日に再び検査を受けて、結果を報告させていただきます。体調は悪くなく、症状もとてもわずかな状態ですが、周囲の安全のため、自主的に隔離を行います」とコメントを発表した。

　１５日に練習動画を会員制交流サイト（ＳＮＳ）に投稿し、「リターンの準備はできている」とのコメントを出したばかり。昨年１０月の右肘手術から復帰へ順調なプロセスを踏んでいた。２１日の再検査の結果次第では全米欠場の可能性も高まる。世界ランキングが３１位まで落ちているだけに手痛い足止めとなる。

　ツアーが新型コロナの影響で３月から中断したため、世界ランクは従来１年間の算出期間が、暫定的に２０１９年３月から２０年１２月までの２２カ月間に延長され、昨年と今年で同じ大会に出場した場合は結果が良かった方のポイントを加算する。昨夏の成績が振るわなかった錦織は今夏に上積みする必要があっただけに、復帰時期が遅くなれば上位浮上が厳しくなる。

　錦織が住むフロリダ州は米国の中でも感染拡大が目立つ地域だ。練習拠点のＩＭＧアカデミーは新型コロナ対策で厳しい規定を設け、現在は同じ敷地内の施設でバスケットボール女子の米プロリーグＷＮＢＡが集中開催されている。細心の注意を払っていた中で、見えないウイルスにのみ込まれた。