【小林祐梨子の目】「のんちゃん」のラストは海外選手のような切り替え
「陸上・セイコー・ゴールデングランプリ」(23日、国立競技場)
セイコー・ゴールデングランプリが23日、来夏に延期された東京五輪のメインスタジアムである国立競技場で、無観客で開催された。女子1500メートルは田中希実(20)=豊田自動織機TC=が4分5秒27で優勝。2006年に小林祐梨子(須磨学園高・当時)がマークした4分7秒86の日本記録を2秒59上回り、14年ぶりの記録更新となった。
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今大会で田中選手が私の日本記録を破る確率は99%と予想していました。ただ、4分5秒台はペースを引っぱってくれる人がいる海外レースだと思っていたので驚がくしました。日本記録だけでなく、この種目で世界と戦える選手が一番身近に出てきたことが何よりの喜びです。
同郷の「のんちゃん」とは実家同士も近く、家族ぐるみのおつきあい。実は彼女は小学校で100メートル20秒とスピードがあるわけではありません。全力で400メートル1本なら、私は約56秒で彼女は60秒前後。すごいのはそのスピードを落とさず1500メートルに持ち込めることです。乳酸がたまったラスト400メートルで海外選手のような切り替えができます。
性格的には結果より自分が納得できるかに執着します。150メートルの流しの練習でさえタイムを計っているのを見た時には驚きました。大学の勉強も妥協がなく、7月のホクレンにはリポートのためにプリンターまで持って行ったそうです。
1500メートルの五輪参加標準も5000メートルの日本記録も確実。誰も経験のない、両方での五輪出場を目指してほしいと思います。(08年北京五輪5000メートル代表・小林祐梨子)