池江復帰レース 競泳界にも衝撃「負けられない」「学ぶべきものがある」
「競泳・東京都特別水泳大会」(29日、東京辰巳国際水泳場)
白血病で長期休養した競泳の池江璃花子(20)=ルネサンス=が、競技会に復帰。自身が日本記録24秒21を持つ女子50メートル自由形で組1着、26秒32をマークした。
厳しい闘病生活を経て約1年7カ月ぶりの実戦ながら、目標に掲げる10月の日本学生選手権(インカレ)の派遣標準記録(26秒86)を突破。池江自身も「組1番になれるとは思わなかった」と振り返ったが、競泳仲間からも驚きと歓喜の声が挙がった。
池江とともに日本代表をけん引してきた大橋悠依(24)=イトマン東進=は電光掲示板でタイムを確認し「普通に速いし、さすがだな」。続けて、「池江選手が戻ってきてまた水泳界も勢いがついていく。自分もしっかり引っ張っていけるように頑張りたい」と前を向いた。
同学年で親友の今井月(るな、20)=東洋大=は、盟友の復帰に「久しぶりにレースに璃花子がいるなって。本当に良い泳ぎをしてるなと思った」と感慨深げ。16年には共に、リオデジャネイロ五輪に出場。「璃花子もすごく頑張ってるし、自分も負けないように、璃花子に刺激を与えられるような泳ぎができたら」と表情を引き締めた。
池江は2024年のパリ五輪出場を最大の目標に掲げている。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(57)は「スタートでまだ力がないのかなと思うところもあったけど、浮き上がってから加速していくところは往年の片りんが見られたので頑張ってほしい」とエール。笑顔の池江に「水泳が本当に好きなんだなと。彼女の水泳に対する思いだったり、もともとの純粋な姿勢は変わりようがない」と喜んだ。
新型コロナウイルスの影響で、半年ぶりの競技会。東京五輪延期でショックを受けた選手も少なくなかったが、池江の姿に多くの選手が刺激を受けた。平井HCも「東京オリンピックがあるから、延期になったからモチベーションが低くなった、とかだけじゃなく彼女が泳ぐ理由(が素晴らしい)。トップの選手は、記録だけじゃなく彼女の姿勢から大いに学ぶものがある」と、希望を口にした。