大坂なおみ初戦突破 ナオミノマスク全て見せる 人種差別に抗議、決勝までの7種用意
「テニス・全米オープン」(8月31日、ニューヨーク)
女子シングルス1回戦で2018年大会覇者の第4シード、大坂なおみ(22)=日清食品)=が世界ランキング81位の土居美咲(ミキハウス)を6-2、5-7、6-2で退け、5年連続で初戦を突破した。直前に負傷した左太もも裏に不安を抱えながらも、26年ぶりの日本人対決を制した。入場時には3月に警官に射殺された黒人女性の名前が入ったマスクを着用し、人種差別への抗議の意思を示した。2回戦は世界ランキング74位のカミラ・ジョルジ(イタリア)と対戦する。
大坂が、すべての思いをマスクに込めた。
2時間を超える激戦となった日本人対決を制した後に行われたインタビュー。3月に警官に射殺された黒人女性ブレオナ・テーラーさんの名が刻まれた黒のマスクについて問われると、決勝までの試合数と同じ7枚の異なる名前が入ったマスクを用意していることを明かした。その上で「ただ、気付いてもらいたい。もっと関心を持ってもらうためにつけた。7枚じゃ(入れるべき)名前の数に十分じゃないのが悲しいところ」と、人種差別への抗議を続けていくことを強調した。
全米オープンの前哨戦ではウィスコンシン州で起きた警官による黒人男性銃撃事件に抗議し、一度は準決勝の棄権を表明。「私はアスリートである前に黒人女性です。警察の手で黒人の虐殺が続いている。吐き気がする」とツイッターに思いをつづった。その後、大会も1日延期となったため棄権は撤回したが、自らの発信力を生かし、黒人差別への訴えを続けている。
初戦から苦しい戦いだった。前哨戦で左太もも裏を負傷してから、中2日。波の激しいテニスとなり、16年以来の対戦となった土居にフルセットと苦しんだ。「タフな相手だから予想はしていたけど、難しい試合だった」。長丁場の全米で負担の大きい1回戦突破となった。それでも、大舞台での戦い方は熟知している。「四大大会は毎回違うストーリーがある。それを乗り切るかどうかの問題」と、前を向いた。
政治的な言動を続ける中で、賛否の声がある。それでも「重圧はある。でも(政治的な)発言をするから、より重圧を感じるようになっているわけじゃない。できれば決勝まで行こうと思う。そうすれば(マスクを)すべて見せることができる」。自分の思いを貫く覚悟はできている。