大坂なおみ、四大会3勝目に王手 2年ぶりVへアザレンカ戦「タフな戦いになる」
「テニス・全米オープン」(10日、ニューヨーク)
女子シングルス準決勝が行われ、2年ぶりの優勝を狙う世界ランク9位の大坂なおみ(22)=日清食品=は、同41位のジェニファー・ブレイディ(米国)を7-6、3-6、6-3で下し、優勝した18年大会以来の決勝進出を決めた。恋人とされるラッパーのコーデーもスタンドから見つめる中、ここまで5試合すべてストレート勝ちと好調だった難敵に競り勝った。四大大会通算3勝目の懸かる12日(日本時間13日早朝)の決勝で、元世界1位で現27位のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦する。
会心の勝利だった。相手のリターンがネットに掛かり、決勝進出が決まるとホッとしたように笑った。そして、スタンドで見つめたラッパーの恋人コーデーと目が合うと、少女のようにはにかんだ。
「楽しかった。決勝に進めてうれしい。大きな意味がある」
心身をすり減らしていくようなハイレベルなラリーを制した。序盤からサービスゲームを譲らない展開に、大坂の脳裏には、19年全豪オープン決勝でクビトバ(チェコ)に競り勝った苦しい試合がよぎったという。それでも最終セットの第4ゲームに訪れたわずかな好機を逃さず、この日初めてのブレークを奪うと、そのまま粘る相手を振り切った。
今大会で黒人差別への抗議を続けてきた大坂。この日のマスクには16年にミネソタ州で警官に射殺された黒人男性フィランド・キャスティルさんの名前が入っていた。用意したマスクは計7枚。「決勝までいけば、すべて見せられる」と話していたように、これですべて披露できることになった。
準決勝後には、マスクに名前を入れた被害者の家族から感謝の言葉も受け取り、涙した。「メッセージももらい、涙が出た。私は多くの人にこの気持ちを届けたいし、注目してもらいたい」
決勝の相手は元世界1位のアザレンカ。過去2勝1敗のリターン巧者との大一番へ「彼女は動きがいいし、自信に満ちている。タフな戦いになる。ただ、自分も多くのことを学んできた。精神的に強くなった」と、意気込んだ。2年ぶりの全米制覇、そしてグランドスラム3勝目で、世界にさらなる強いメッセージを送る。