錦織圭が383日ぶり復活星!右肘手術、コロナ感染乗り越えた「勝つことが自信に」
「テニス・イタリア国際」(14日、ローマ)
開幕し、男子シングルス1回戦で世界ランキング35位の錦織圭(30)=日清食品=が44位のアルベルト・ラモス(スペイン)を6-4、7-6で退けた。右肘手術と新型コロナウイルス感染を経た復帰2戦目で、19年8月の全米オープン以来約1年ぶりの勝利を手にした。2回戦は第10シードのS・ワウリンカ(スイス)とL・ムセッティ(イタリア)の勝者と対戦する。クレーコートの今大会は、27日に開幕する四大大会の全仏オープン(パリ)の前哨戦。全米オープンを制した大坂なおみに刺激を受けた男子のエースが、復活ロードを歩み出した。
長い長いブランクを経て、世界の頂を目指す男子のエースも、再び確かな一歩を踏み出した。バックハンドで放った錦織の返球が、ネットに当たって相手のコートに落ちる。第2セットのタイブレーク。6度目のマッチポイントでようやくつかんだ勝利だが、喜びは控えめだった。「ほっとしたところが大きかった」。19年8月の全米オープン2回戦以来、383日ぶりの白星を、無観客のコートで静かにかみしめた。
新鋭のケツマノビッチ(セルビア)に逆転負けを喫した8日の復帰初戦に比べ「格段と全体的に良くなった。2倍くらい良かったと言えるんじゃないか」と手応えを語った。クレーコートが得意な32歳のサウスポー、ラモスにラリー戦で競り勝ち「積極性」を意識したネットプレーも効果的だった。
ストロークが持ち味の錦織にとって、球足が遅くラリーの続く土のコートは調子を取り戻すにもってこい。2年前に右手首故障からの復活を印象付けたのも赤土の大会だった。「リズムがつかみやすく、自分のテニスを戻す近道になる」といいイメージを持っている。2時間を超える打ち合いでラモスにブレークを許さずにストレート勝ち。「まだ納得のいくテニスはできていないが、その中でも勝つことが自信になる」と踏み出した一歩の意味を語った。
所属先が同じで、仲の良い女子の大坂なおみが全米オープンを2年ぶりに制覇。大坂もまた紆余(うよ)曲折を経ての復活だった。「メンタルがすごいなと単純に思う。今の女子で彼女が打ち負ける選手はいないんじゃないか。いろんな感情に打ち勝って優勝するというのは、普通の人にはない感覚」と刺激を受けた男子のエース。自身も焦らず一つ一つの勝利を積み重ねた先に、心技体がそろった完全復活があると信じている。