五輪代表・山西利和 7カ月ぶり実戦で日本新V「想定の範囲内」
「陸上・全日本実業団対抗選手権」(19日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)
男子5000メートル競歩は、ドーハ世界選手権金メダリストで東京五輪20キロ代表の山西利和(24)=愛知製鋼=が18分34秒88の日本新記録で優勝した。従来の記録は2015年に鈴木雄介(富士通)がマークした18分37秒22。
降りしきる雨で曇りかけたメガネの先に、山西は日本記録をはっきりと捉えていた。「日本記録とか18分30秒ぐらいは、今の地力でコンディションが整えば出るだろう、と練習の段階で分かっている。想定の範囲内」。日本記録更新を、努めて冷静に受け止めた。
日本選手権20キロ(神戸)以来7カ月ぶりの実戦だった。序盤から繰り広げた高橋英輝(富士通)とのマッチレース。2400メートル付近で東京五輪20キロ代表対決にけりをつけると、あとは記録へと歩を進めるだけだった。
五輪延期が決まって以降、体の基本的な動かし方などを一から見つめ直した。「パリ五輪ぐらいまで勝ち続けるイメージで、突き抜けていくような強化方針を取るのが結果的に東京への一番近道」。来夏はもちろん、4年先まで圧倒的な力を見せつける覚悟がある。
派手に喜ぶことはない。東京五輪の金メダルで喜ぶか?と問われると「そのときのぼくの感情によると思う」と答えた。「20キロの世界記録は十分射程に入る」とまで言い切る世界王者は、頂点と記録だけをにらんでいる。