琴奨菊36歳ド根性星!満身創痍で炎鵬圧殺 幕内残留ノルマあと3勝

 勝ち名乗りを受ける琴奨菊(撮影・中田匡峻)
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 「大相撲秋場所・7日目」(19日、両国国技館)

 左ふくらはぎ肉離れから5日ぶり再出場した関取最年長、元大関琴奨菊がド根性の2勝目(2敗3休)をもぎ取った。小兵炎鵬を抱えて上から圧殺。勝負結果は腰砕けだった。満身創痍(そうい)の36歳が十両陥落危機に決死の特攻。15年在位する幕内残留ノルマの5勝へ執念を燃やす。

 琴奨菊が全治2週間の負傷から5日で帰ってきた。左ふくらはぎはテーピングでガッチリ固定。満身創痍の36歳は炎鵬を抱え込み、上から186キロの体重をかけ押しつぶす。92キロの小兵は耐え切れず、膝から崩れた。

 がむしゃらに手にした2勝目。2日目の明生戦で「ぶちっと音がした」という患部は軽傷ではない。師匠の佐渡ケ嶽親方は「心配。これ以上、大きなケガをしてほしくない」と祈るような心境だ。

 それでも、これが元大関の生きざま。残り全休なら十両陥落が確実な状況で退路を断っての特攻だ。17日にぶつかり稽古を再開し動画を師匠に送り、「動けるようになりました」と再出場を直訴した。

 師匠は「本人の気持ちを優先した。奨菊には『自分が納得いくまで取れ』と言ってきた。奨菊も体力の限界までやりたいという気持ちが強い」と弟子の覚悟を受け入れた。

 17年春場所で大関を陥落後も21場所幕内を維持する。05年夏場所以来15年間、幕内在位92場所は歴代7位。先場所、元横綱稀勢の里を超え、幕内勝利は歴代6位の718勝。同5位、746勝の大横綱大鵬も視界に入る。

 場所前には「そこに挑戦できるのは昔の教え、いろんな環境があったから」と振り返っていた。先代師匠(元横綱琴桜)の教えは「ケガは土俵で治せ」だった。師匠は「奨菊も先代の弟子。ケガに強い」と底力を信じる。

 幕内残留ノルマはあと3勝。先に引退した稀勢の里、豪栄道、豊ノ島、栃煌山ら戦友と築いた時代の「誇り」が胸にある。琴奨菊はまだ散らない。

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