宇良が約3年ぶり関取返り咲き 2度の右膝手術乗り越え「居反りも使って」
日本相撲協会は9月30日、東京・両国国技館で11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、人気業師、宇良(28)=木瀬=の十両復帰を決めた。2度の右膝手術からあきらめずに再起し、18年初場所以来、約3年ぶり関取に返り咲いた。
最高位は西前頭4枚目。元幕内が序二段に落ちながら、再び関取になったのは元大関で現幕内の照ノ富士(28)=伊勢ケ浜=に続き2例目となる。
吉報を聞き、都内の部屋で電話での取材に応じた。「自分が知る前から連絡がいっぱい来た。3年もかかったのでうれしい。長く時間がかかった」と感無量。師匠の木瀬親方(元幕内肥後ノ海)から「良かったな」と祝福され「ありがとうございます」と感謝した。
関取復帰を周りは期待する中、自身は不安を抱え、そのギャップがつらかった。「こういう日が来ないと思ってた方が強いので。不安だったのは自分がもう2度と上がれない気持ちの中で、応援していただいている方は時間がたてば上がるだろうと思っていて」。そういう期待にもすべて応えることができたのが「良かった」と、かみしめた。
ピンクの締め込みも化粧まわしもしっかりと保存している。「(十両で)元気な相撲を取りたい」と力を込めた。
持てる力をすべて出すつもり。「居(い)反りも使ってばんばん出しますよ」とアクロバット力士の代名詞でもある大技、居反りも予告した。
「押し相撲だけでは限界がある。年齢的にも捨て身にならないとダメかなと思って。自分らしい相撲を出して終わったのならそれでいい。周りに何を言われもいい」と決意を語った。
1度目のケガをした際、ケガを恐れて押し相撲に徹するスタイルへの変更を心がけた。しかし、再発し、再び長いリハビリを繰り返すことになり、考えを改めた。
「合ってないことが一番良くなかった。いきなり相撲内容を変えるのは難しい」と元のスタイルに回帰。今は「あきらめなさいと言われても際になる勝負どころで土俵を割るのはできない。粘れる限り粘る」と、宇良らしい相撲を限界まで貫いていく。