日本記録保持者・田中希実が圧倒V レース合間にオンライン授業“文武両道”で2冠へ
「陸上・日本選手権」(2日、デンカビッグスワンスタジアム)
温め続けていた陽動作戦がズバリとはまった。女子1500メートル決勝を、田中希実(21)=豊田自動織機TC=が4分10秒21で制し、初の日本一を手に入れた。8月に自らが樹立した4分5秒27の日本記録には及ばなかったものの、残り900メートル付近からのロングスパートで逃げ切った。
序盤は3~4番手に控えていたが、600メートル付近で仕掛けた。「従来のようなラスト300とか、ゴールに近いところでスパートするのは、自分の持ちタイムを考えるとずるい感じがした」。21歳の日本記録保持者には、駆け引きのうまさも備わっていた。
800メートル予選を全体1位で通過した後、約5時間後の1500メートル決勝までの間、約30分間、在学する同大のオンライン授業を受けた。あとで動画配信を見ることもできたが「集中する時間がほしいと思って今日中に終わらせたかった」と、文武両道ぶりも発揮。2冠をたぐり寄せるまで、手綱は緩めない。