女子短距離の新星・23歳鶴田玲美 日本歴代3位のタイムで初優勝
「陸上・日本選手権」(3日、デンカビッグスワンスタジアム)
女子200メートル決勝が行われ、鶴田玲美(23)=南九州ファミリーマート=が日本歴代3位の23秒17(向かい風0・1メートル)で自己ベストを0秒64縮めて初優勝を果たした。2位は19年女王の児玉芽生(21)=福岡大=が自己新の23秒44で、100メートルとの2冠は達成ならず。
五輪出場すら危ぶまれていた日本女子短距離界に、新たな希望が現れた。スタートから抜け出した鶴田は、最後の直線で独走。向かい風ながら日本歴代3位の23秒17で初優勝し、「ベストは更新できるという感じはあった。まさか1まで出ると思わなかった。正直驚いています」。初出場初戴冠への喜びではなく、タイムへの驚きが表情ににじんだ。
急成長を遂げている。19年までの最速は昨年9月の24秒68。これを9月の北麓ワールドトライアルで0秒87縮め、23秒81の自己新記録をマークした。100メートルでは「独特の空気に緊張してしまった」と2位だったが「1本1本走るごとに落ち着いた」。決勝を終え「前半からスピードに乗れて、直線でもうまく走れた」と充実の表情を浮かべた。
向かい風でも!!標準記録迫った
東京五輪の参加標準記録22秒80にも、0秒37に迫った。女子短距離界を長くけん引してきた福島千里が出場を逃すなど、暗雲立ちこめていた日本女子短距離界の光にもなった。
2位の児玉は、9月に100メートルで日本歴代3位となる11秒35を記録し、日本女子短距離で福島を継ぐ存在として1番に名乗りを上げた。その児玉を下し、鶴田も“後継者”として頭角を現した。陸上界の新エースについて「あまり意識したことがない。まだそういうレベルもない」と謙虚に話すが、「今年はタイムがいいけど、1年じゃ意味がない。来年、今年のレベルで走れるようにまた頑張りたい」と貪欲な思いも見える。“日本歴代3位コンビ”が、新時代を築き上げる。