五輪簡素化約300億円削減 森喜朗会長「よう削った」も世論への訴求力は限定的か
東京五輪・パラリンピック組織委員会は7日、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で、来夏に延期となった東京大会に向けて検討してきた簡素化の削減効果を報告した。各会場の仮設設備の見直しや大会関係者数の10~15%の削減、組織委スタッフ要員の計画の最適化などで、削減、抑制額は約300億円(2800万ドル)となった。
理事会での報告後に会見した森喜朗会長は「300を大きいとみるか、小さいとみるか。よう削ったなと僕は思う。大変な努力をした。ただ、ステークホルダーも命がけ。ここまでが協力の限度じゃないか。(IOC)バッハ会長からも大変大きく評価していただいた」と、話した。
主な見直し内容としては、仮設設備の見直しとサービスレベルの引き下げなどで150億円、競技会場・選手村などの装飾などの削減で10億円、聖火リレーにおける車両、スタッフの削減などで8億円、大会関係者の人数調整で10億円、組織委スタッフ人員の最適化で30億円。また金額面では大きくないが、これまで問題視されていたIOC役員などへの過剰なサービスにもメスが入った。
伊藤学司チーフ・ファイナンシャル・オフィサー(CFO)は「これまでも経費節減の努力をしてきて、ぎりぎりまで切り詰めて、ここが限界というところから、今回また新たに前例を取り外してさらに深掘りできた」と、胸を張った。
ただ、組織委が昨年12月に発表した大会経費は1兆3500億円で、300億円はその2・2パーセントに止まる。今後数千億円といわれる延期による追加経費、さらに新型コロナウイルス対策の費用が年内をメドに試算される中、決して開催に前向きな声が多いとはいえない世論に対しての訴求力は限定的なものに止まる。
大会側は今後も簡素化の努力を続けるが、IOCが難色を示しているといわれる開閉会式などに手を入れられない限りは、今後大幅な削減は厳しいとみられる。