東京五輪、簡素化で300億円の経費削減 組織委・森喜朗会長「よう削ったなと思う」
東京五輪・パラリンピック組織委員会は7日、新型コロナウイルスの感染拡大で来夏に延期された大会の簡素化による開催経費の削減、抑制額が約300億円になる見通しだと発表した。この日、オンラインで開催された国際オリンピック委員会(IOC)理事会で報告した。延期に伴う追加経費は数千億円規模とみられており、組織委は大会直前まで削減を図っていく。
ひとまず300億円を削り出した。組織委とIOCは、9月に52項目の簡素化で合意。それを受けて削減額を試算し、まったく簡素化を行わなかった場合に比べて、約300億円を削減した。
もっとも効果的だったのが、会場の運営用スペースの縮小や、照明数の削減などに伴うもので、約150億円を削減。さらに、組織委スタッフに関しては、人件費の抑制など要員計画の最適化を図ることで約30億円が削られたという。
五輪の大会関係者の参加は、約5万人から10~15%減る見通しで、それに伴うサービスの質および量の見直しで約10億円。装飾については観客席や選手村など、それぞれの面積を約20~40%減らして約10億円を削ることができる。
聖火リレーについては、隊列車両の一部削減やスタッフ数の見直しなどにより約8億円。バスのスケジュールなど、輸送サービスに関しては約9億円。すでに今夏の開催に向けて多くの費用が投入済みの中での見直しを迫られ、限られた中での節減だった。
大会の経費は、従来の計画では1兆3500億円に及ぶ。ここに数千億円規模と見込まれる追加コストと、新型コロナ対策の費用が加わるとみられ、年内にも予算が示される。300億円から少しでも上乗せするため、大会直前まで削減への取り組みは続けていくというものの、さらに上積みできる具体額は不透明。国民や都民の十分な理解が得られるかも見通せない。
300億円という額をどう見るか。会見した組織委の森喜朗会長は「よく300億円を削ったな、と思っている。みんな大変な努力をした」と評価した。そして、2024年パリ大会以降の五輪に対して「少しでも我々がやったことがいい形で残れば、こんなにいいことはない」と、“東京モデル”が、今後の五輪のレガシーになることへの期待も寄せた。
開催まで残り9カ月。コストへの戦いも続いていく。