田中希実「“膝カックン”されたような」転びながら全力ゴールで優勝

ゴール前でバランスを崩した田中希実
ゴール直前で転倒したが、トルソーが入っていたため1位となった田中希実
倒れ込みながらゴールする田中希実(左から右へ)。2分6秒72で優勝した
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 「陸上・木南道孝記念」(24日、ヤンマースタジアム長居)

 女子800メートルがタイムレースで行われ、女子1500、3000メートルの日本記録保持者、田中希実(21)=豊田自動織機TC=が、転倒しながらのゴールで優勝した。タイムレースで2組1着の2分6秒72。同組で走った今年の日本選手権覇者、川田朱夏(東大阪大)を0・06秒上回った。

 「足が前に上がらなくて力が抜けるというか、“膝カックン”されたような感じで、全身の力が抜けてしまって…」と振り返った田中。「長距離であそこまで完全に力が抜けるという固まり方はないかな」と完全に力を使い切った。

 1周目は最後尾。2周目の残り200メートルで加速し、ゴール手前で競り合ったこの日のレース展開は、主戦場としている5000メートルを意識し、意図的に仕掛けたものだ。「世界の5000メートルではラストを800メートルのスピードで上がってくる。そのスピードを磨くため」と説明する。

 「(4位だった今月の)日本選手権(新潟)の800メートルのように、周りの選手に流されてしまうところがあったが、今回はほかの選手を意識せず自分の走りに集中できた」と自ら掲げた課題をクリア。「この感覚は5000メートルでも自分の走りを忘れないという面や、競り合いのレースでは生きるのかな」と収穫を口にした。

 ゴールで突っ伏して見上げた電光掲示板で優勝していたことがわかったが「あそこまで出し切って負けたなら、今回は最下位でも悔いがない」と腹をくくっていた。左膝、左腰を強打し「左肩も外れたようで心配」。傷だらけの勝利は必ず未来につながる。12月4日の日本選手権・長距離種目(ヤンマースタジアム長居)では、参加標準記録をクリアしている5000メートルで東京五輪代表の座を狙う。

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