琴奨菊にソフトバンク・内川から金言「無我夢中」
「大相撲11月場所」(11月8日初日、両国国技館)
15年以上維持した幕内から十両に降下した元大関琴奨菊(36)=佐渡ケ嶽=が30日、親交深いソフトバンクの内川聖一内野手(38)から「無我夢中」という金言を授かったことを明かした。
内川いわく、うまくなる瞬間は「夢中な時」。失敗や嫌なことがあると我(われ)に返るけど、そこで「無我夢中」になれるかが大事なのだ、という。
琴奨菊は「我(が)を無くして夢中でやることがうまくなることにつながるんだよね、と。だから無我夢中なんだよね、と。我が無くなったら夢中になるよねみたいな。相撲でもそうだけど。我が出るから行き過ぎちゃうんですよね、たぶん。そんなことを内川選手が言えるメンタル状況もすごい」と感銘を受けた。
内川は現役最多2171安打を誇りながら、今季はここまで1度も1軍に上がることはなかった。ホークス退団が濃厚となり、現役続行を希望している。
福岡県出身の琴奨菊はホークスファンでもあり、今季のリーグ優勝には大喜び。そんな中、今季、内川と連絡を取り合い、厳しい立場ながらも、ただ純粋にうまくなることを考えている姿に勇気をもらった。
「ホークスの優勝はすごくうれしくて。こうして応援している内川選手がこういう状態で、というのも踏まえて、自分も同じ世代として頑張っていきたいな。若い子でも無我夢中とか言わないでしょ。ゴールデングラブ賞を去年取ってて、二軍で生活してて、それでもそうやって言えるという、自分が上げてもらえないという状態でそうやって言えるというのは。だから土俵に上がるだけじゃない戦いをしている。そういうところも、刺激を受けながら頑張っていきたいなと」。
角界と球界は違えど、若い頃から活躍し、ともに今、現役の最終章を迎えている。「自分は力をもらってます。この状況でそういう言葉は言えないから。でも自分もそういう気持ちだから、という感じですかね」と、気持ちは共闘だ。
先場所、左ふくらはぎを負傷し、11月場所で十両に落ちたが、逆境だからこそ学ぶことがある。「自分もできると思ってやってるから。そこで多くの教訓を得たなと。なんか、全てポジティブに捉えてるというところですかね」と必ず、再び幕内に戻ってみせる。