全柔連が「暴力根絶宣言」を発表 中学柔道部顧問の障害事件受け「愛のむち」容認せず

 全日本柔道連盟(全柔連)は30日、兵庫県宝塚市の中学校で柔道部顧問が部員の1年生男子2人に柔道技をかけて背骨を折るなどの重軽傷を負わせて傷害容疑で逮捕されたことを受け、「暴力行為根絶宣言」を発表した。「今回の事件を重く受け止め、柔道関係者に注意を喚起するとともに、このような行為を行った者には厳しい処分を行うなど、再発防止に努めて参ります」との声明を出した。

 全柔連は、2012年に女子日本代表で暴力行為が発覚したことに伴い、13年8月に「暴力行為根絶宣言」を出していた。

 今回、宝塚市の中学校では、柔道部の顧問教諭が校内の冷凍庫で保管していたアイスを部員の生徒2人が無断で食べたとして立腹し、投げ技や絞め技を連発して負傷させた。生徒の1人は失神した後もビンタで起こされ技をかけ続けられたといい、胸椎を骨折する重傷。もう1人は首の打撲などの軽症を負っていた。

 柔道有段者の顧問教諭による生徒への傷害事件は社会を震かんさせた。これを受け、全柔連は山下泰裕会長の名前で「暴力行為根絶宣言」を発表し、「この事件に象徴されるように、近年、身体的暴力のみならず、言葉や態度による威嚇、人格の否定、いじめなどの行為が後を絶たず、誠に慚愧(ざんき)に堪えない」との声明を出した。

 指導上のあらゆる暴力について、「愛の鞭(むち)なる言葉で美化される暴力などは、決して柔道と相いれないものである」と改めて容認しない考えを示すとともに、「本宣言発出後も暴力行為等を行った者に対しては、これまで以上に厳しい処分で臨むことを宣言する」とけん制した。

 また、全柔連は今回の問題について調査する方針を示しており、今後、顧問教諭への処分が検討されるとみられる。

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