貴景勝V王手 勝負どころで強さ増す「精神力」で照ノ富士を迎え撃つ
「大相撲11月場所・14日目」(21日、両国国技館)
小結照ノ富士が幕尻の志摩ノ海との2敗対決を寄り切りで制し、12勝目を挙げた。千秋楽、逆転優勝を懸け1差で追う“一人大関”貴景勝との直接対決に臨む。貴景勝は関脇御嶽海を突き出しで一蹴し、自己最多タイ13勝目。優勝は2人に絞られ、単独トップの貴景勝は本割で勝てば自身11場所ぶり2度目、大関では17年初場所の稀勢の里以来22場所ぶりの優勝が決まる。負けると優勝決定戦にもつれ込む。
立ち合いの直前、貴景勝が天井を見上げた。極限まで集中力を高めると、軍配が返ってからは電車道。今場所の中盤戦で多用した引き技も必要ない。御嶽海を一気に突き出し、初優勝した18年九州場所に並ぶ自己最多13勝目。2度目の賜杯に王手をかけた。
勝負どころで力強さを増す突き押し以上に、大関を支える武器がある。「自分の精神力じゃないですか。それは今、強くなれと言われてもなれない」
千秋楽の結びで、7月場所で復活優勝を遂げた照ノ富士を迎え撃つ。自身を上回る2度の優勝を経験している元大関。相手に不足はない。「いつも通り、14日間やってきたことをやるだけ」。出場力士の最高位として、あるべき姿は思い描けている。賜杯を抱き、一年を締めくくる。