真凜を襲う「試合の怖さ」6つの回転不足、連続J無効で9位「自信を取り戻さないと」
「フィギュアスケート・NHK杯」(28日、東和薬品ラクタブドーム)
女子フリーが行われ、SP9位だった16年世界ジュニア女王の本田真凜(19)=JAL=はフリー104・27点、総得点162・57点で今季自己ベストをマークしたが、GPシリーズ自己ワーストの9位に終わった。
本田はSP、フリーとも最後まで笑顔で演技を終えた。「今の自分にできることは出せたかなと思う」と、納得した様にうなずいた。
ただ、苦しい演技ではあった。ブルーの衣装でフリー「ラ・ラ・ランド」にのってスタートすると、冒頭の3回転フリップは着氷が乱れた。続くダブルアクセル-3回転トーループの連続ジャンプ以降はしっかりと着氷させたが、そのうち6つのジャンプで回転不足をとられた。3つしか入れられないコンビネーションジャンプを4つ入れてしまい、最後のダブルアクセルからの3連続ジャンプは後半の2つのジャンプが無効となった。
今季が始まる直前に、右肩を2度脱臼。難しい調整を強いられてきた。「不安な中で試合に臨むことが多くて、この大会もそのうちの1つだった。怪我の後から回転不足をとられることが多くて今回もそうだった。練習では3回転ルッツや連続3回転を入れた構成を練習しているけど、試合になるとジャンプが不安定になる。試合の怖さを克服しないと。不安がジャンプに影響して調子が上がらない。自信を取り戻さないと」と、自らに言い聞かせるように話した。
ただ、その中で最後まで笑顔で演技できたのは収穫だった。「自分の調子や不安な気持ちが演技に出るタイプ。今季はここまで不安な顔をしての演技だったので、今回は最初から笑顔を心がけていた」。今季初めての有観客も大きかった。「本当に久しぶりにお客さんの前で演技ができた。自分がスケートの中で好きなことはお客さんの前で演技できること。無観客は正直楽しくなかった。久々に楽しく演技ができた」。
12月の全日本選手権(長野)は、今季で引退を表明している兄の太一と一緒に出場する最後の全日本。笑顔で、兄の花道を彩る。