不死鳥復活!日大3年ぶり甲子園ボウル 悪質タックル問題以来関学と「運命的」対戦へ
「関東大学アメフト、日大38-14桜美林大」(29日、アミノバイタルフィールド)
優勝決定戦は日大が桜美林大を第4Qに突き放して38-14で勝ち、3年ぶり35度目の甲子園ボウル出場を決めた。RB川上理宇(4年)が計3本のTDを決めるなど躍動した。12月13日に甲子園球場で関西代表の関学大と対戦する。日大-関学大の甲子園ボウルは2017年大会以来30度目で、両校の対戦は悪質タックルのあった18年5月の定期戦以来となる。
鮮やかに羽ばたいたわけではない。地獄を知るからこそ泥くさく、一歩一歩。めげずに前だけを見て、不死鳥が再び東の雄へと復活を遂げた。日大が3年ぶりに甲子園出場。前回出場時に1年生ながらMVPを獲得したQB林大希(4年)は喜びで目を赤く染め「仲間を信じてよかった。100%、うれし涙です」と感慨に浸った。
17年に大学日本一に輝いたが、翌18年5月の「悪質タックル問題」で大きな批判を集めた。公式戦は出場資格停止。昨秋に1部下位リーグで全勝優勝し、戻ってきた同上位リーグの舞台だった。
この日は林大が先制TDパスを通しても、直後にTDを返されるなど苦境が続いた。主将のDL伊東慧太は右足のけがで離脱中。林大も試合中に負傷し、攻守の要を欠く絶体絶命の状況に追い込まれた。それでも誰も下を向かない。第4Q、さまざまな思いを爆発させるかのように勝利をたぐり寄せた。
RB川上は「きつい試合だったけど、あの逆境を経験したから。事件後の3年間が強くしてくれた」。橋詰功監督も「いろんな逆境を越えてきた自信や経験がこの試合に出た」と選手を称えた。
甲子園の舞台で戦うのは、くしくも問題の契機となった関学大。“あの試合”以来の対戦となる。「僕らでは操れない運命的なものがあったのではと、本気で思う」と林大。「ほんまに3年間苦しかったけど、全員の目標だった場所。全員フットボールを甲子園という素晴らしい場所で存分に披露したい」。真っ赤に燃える闘志は変わらず、フットボールができる喜びを胸に-。誇りを取り戻したフェニックスが、甲子園へと乗り込む。
◆タックル問題からの流れ
2018年5月6日 日大との定期戦で危険なタックルを受けた関学大の選手が負傷
5月29日 関東学生連盟が日大を条件付きの出場資格停止に
6月31日 関東学連が日大の出場資格停止処分を解除しないと発表。秋のリーグ戦出場が不可能に
9月 新監督に立命大OB橋詰氏が就任
10月 タックルした選手がチーム練習復帰
19年3月31日 関東学連が部と当該選手に科した公式試合の出場資格停止処分を解除
5月4日 資格停止処分解除後初の対外試合で日体大に42-0で大勝
9月7日 関東1部下位リーグに復帰後初の公式戦で青学大に89-0で大勝
11月17日 当該選手が公式戦に復帰。横浜国大に41-3で勝利
12月1日 桜美林大に45-27で勝ち関東1部下位リーグを7戦全勝で優勝。上位リーグ復帰が決定
2020年10月11日 関東1部上位リーグに3年ぶりに復帰し、初戦の法大戦を44-34で快勝
11月11日 中大に31-15で勝利
11月14日 東大に30-6で勝ち3連勝でAブロック1位決定
11月29日 関東1部上位リーグ決勝で桜美林大に38-14で勝利