自転車五輪代表・梶原悠未「金取る」 母のススメで高校から競技開始、文武両道貫く

 自転車トラック種目の女子オムニアムと女子マディソンで東京五輪代表の梶原悠未(23)=筑波大院=が、11月30日までにデイリースポーツのインタビューに応じた。2月の世界選手権オムニアムで金メダルを獲得。11月の全日本選手権では世界王者のみが着用できるジャージー「マイヨ・アルカンシェル」をお披露目すると同時に、驚異の6冠を達成して実力を見せつけた。日本屈指の女子レーサーが、競技へのこだわり、勝ちへのこだわりを語った。

 幼少期に水泳を始め、小、中学生の時には全国大会に出場していた梶原が自転車競技と出会ったのは、筑波大坂戸高入学時。きっかけは「母に勧められて」だったという。母・有里さんは「全国で1番になれる競技をと。高校からやれる違う競技に転向したら、全国の1番になれるんじゃないかなと思って」。何事にもポジティブに捉える梶原だからこそ、母の助言をすんなり受け止めた。

 「今まで体一つで水泳をやってきたので、(母から)『また体一つで戦うよりは、何か機材を使ってやってみたら』と言われて、その方が可能性が無限大だなと。挑戦してみようと思った。軽く1年ぐらいやってみて才能がなかったら水泳に戻ろうと思って」

 自転車競技部に入部するとみるみる才能が開花し、競技を始めて約10カ月後の全国高校選抜大会では3種目で優勝。すぐにジュニア強化指定選手として日本代表チームに招集された。「それから世界で勝ちたいと思って続けてきた」と決意を固めたという。

 高校3年間は水泳のクラブチームに所属し、2つの競技を両立していたが、筑波大進学と同時に自転車競技1本に絞った。大学の卒業論文ではオムニアム4種目のうちの1つ、エリミネーションの戦術技能を研究。世界で勝つため、全てを競技に注ぎ込んだ。大学院進学も競技のためだ。

 「大学4年間でその日の授業で学んだことをその日のうちにトレーニング、次のレースに向けてすぐに生かして走った。そこで得た課題とか自分の苦手なところをどう克服していくかをまた大学の授業で探したり、学びから気づいたり。学んだことを生かして競技で結果を出す。そのスタイルが4年間で身についたので、大学院に行ってより深く研究や知識を身につけて、競技力とともに自分の知識も深めていきたいと思った」

 現在の授業は全てオンラインで学校に登校することはない。「春学期は練習は3時間ぐらいで、1日12、3時間ぐらい勉強していた」と学業もおろそかにすることなく、文武両道を貫く。

 世界女王の称号を手にした今も、梶原の中に強く存在するのは東京五輪代表という自覚だ。五輪延期が決定される前は「このまま予定通りのスケジュールで調整していっても良いのか、それとも一回切り替えて、もう一度スケジュールとか計画を立て直してトレーニングをしていくべきなのか。そこの曖昧だった時期が一番不安だった」という。それでも「(延期が)決まってからはすぐに切り替えて来年に向けて頑張ろうとなった」と早々に再調整を始めた。

 どんなときも前向きに捉える。そんな強い意志を持ち続けられるのは明確に目指す“場所”があるからだ。

 「次に達成したい目標がオリンピックの金メダリスト。今は世界チャンピオンということを自覚しつつ、その大きな目標に向けてトレーニングを一生懸命頑張っている」

 東京五輪での金メダル獲得への熱い思いは日々のルーティンでも具現化されている。現在トレーニングを行っている東京五輪会場の静岡県・伊豆ベロドローム付近の山の中で「トレーニングを行っていて、山を登ると神社がある。その神社に毎回、『オリンピックで金メダルを取ります』と(メニューで決められた本数を登って)毎本毎本宣言して下る。常に意識と覚悟を持って練習している」

 常にポジティブに、常に上を見続ける梶原の最終目標は「東京オリンピックで金メダルを取って、その次のパリオリンピックでも2大会連続の金メダルを獲得」。どんな称号を手にしても慢心することなく、競技と真摯(しんし)に向き合っていく。来夏の大舞台まで1年を切った。神様ではなく自身の力で、表彰台の真ん中を勝ち取りにいく。

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