一二三VS丸山、無観客一騎打ちへ決意 柔道男子66キロ級五輪代表へ運命の一戦

 柔道男子66キロ級で、日本柔道史上初となる一騎打ちのワンマッチでの五輪代表決定戦が13日に東京・講道館で行われる。19年世界王者の丸山城志郎(27)=ミキハウス=と、17、18年世界王者の阿部一二三(23)=パーク24=の両者は10日、全日本柔道連盟(全柔連)を通じて最終決戦に向けたコメントを発表した。

 日本柔道史上、前例のない戦いまで残り2日。粛々と鍛錬を続けてきた両者は、ワンマッチ決定戦実施が決まって以降初めてとなるコメントを発表し、最終決戦への決意をにじませた。

 1年ぶりの実戦となる丸山は、拠点の天理大で練習を続けてきた。「今回の試合は皆様の注目をいただいていることを重々承知しています。また、コロナ禍で大変な思いをされている医療従事者のみなさまをはじめ、多くの方々がスポーツどころではない現状も理解してます」。コロナ禍に対する配慮とともに、「今自分にできることは、多くの方々への感謝の気持ちを忘れず戦うこと。強い気持ちで戦う姿を皆様にお伝えできたら」と、社会を活気づけるような激闘を誓った。

 一方、阿部は今春入社したパーク24や母校日体大を中心に都内で練習してきた。「試合に向けてしっかりと勝つ準備をしてきました。13日は、豪快な一本を取りにいく自分の柔道をして勝ち切り、オリンピック代表内定を必ず決めます」と短いコメントの中に強い決意を込めた。

 コロナ禍にほんろうされた2020年を締めくくる一戦は、無観客開催で“令和の巌流島決戦”ともいうべき異例の一騎打ちになる。試合は午後4時40分頃開始予定。テレビ東京系列で生中継され、インターネット配信でも全世界に発信される。過去の対戦は丸山の4勝に対し、阿部が3勝。勝った方が五輪代表決定。極限の緊張感の中、名勝負にピリオドが打たれる時が来る。

 ◆阿部一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日、神戸市出身。6歳から柔道を始めた。神港学園高2年だった14年講道館杯で史上最年少優勝を果たし、同年のGS東京も最年少制覇。17、18年世界選手権を連覇した。日体大卒業後、パーク24に所属。右組みで得意技は袖釣り込み腰、背負い投げ。家族は両親と兄、妹は東京五輪女子52キロ級代表の詩。168センチ。

 ◆丸山城志郎(まるやま・じょうしろう)1993年8月11日、宮崎市出身。バルセロナ五輪代表の父・顕志さんの影響で3歳で柔道を始めた。沖学園高から天理大に進学。19年世界選手権では初出場で金メダルを獲得した。左組みで得意技は内股、袖釣り込み腰。趣味はドライブ、釣り。18年には妻クルミさんと結婚。兄は81キロ級の丸山剛毅(パーク24)。167センチ。

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