阿部一二三 今まで世の中が経験したことのない試合-五輪に生かしたい【一問一答】
「柔道・男子66キロ級東京五輪代表決定戦」(13日、講道館)
世紀の一戦を制したのは阿部一二三(23)=パーク24=だった。五輪代表選考で日本柔道史上初となる一騎打ちのワンマッチで17、18年世界王者の阿部が、19年世界王者の丸山城志郎(27)=ミキハウス=と24分にも及ぶ死闘を大内刈りで延長優勢勝ち。女子52キロ級の阿部詩(20)=日体大=と日本柔道初のきょうだい代表を決めるとともに、来夏の金メダル獲得に向けてようやくスタートラインに立った。以下は阿部の一問一答。
◇ ◇
-試合が終わった瞬間は。
「自分の柔道が最後まで出せたかなと。最後投げたのも、自分が前に出て自分の柔道をした結果だと思う。自分の柔道が一番だと見せれた」
-周囲が支えてくれた。
「やっと少し恩返しできたかな。僕の目標は五輪で優勝すること。そのまずはスタートライン、五輪代表に内定できた。本当にたくさんの人が僕のことを支えてくれて、応援してくれて…。関わってくれた全ての方々に感謝したい」
-勝因は。
「気持ちを切らさず自分を信じて、自分の柔道を貫き通した結果だと」
-最後のポイントの場面を振り返って。
「長い試合をしていて、展開展開でいいシーン、悪いシーンというのはあったと思う。ちょっと引いてしまっているシーン、しっかり前に出ているシーン。今回はそういう部分も含めて冷静に判断して柔道ができていた。自分が出ないといけない時間、耐えきる時間がしっかりと判断できた。ポイントを取ったシーンは自分が前に出て、相手がたぶん少しひるんで下がって返しにきたところを、前に出て投げる技を練習していた。想定内というか、状況を見られた中での技だったかな」
-昨年の丸山選手に対する敗戦は。
「頭によぎることはなかった。前はゴールデンスコアで雑になってしまう部分があり、そこでポイントを取られたりしたが、しっかり準備ができた」
-24分という試合時間も想定していたか。
「これだけ長くなるとは思っていなかったが、想定外ではなかった。どれだけ試合が長くなっても集中力を切らさずに自分の柔道を貫き通すというのを今回、テーマにやってきたので。雑にならず、しっかりと冷静に自分の柔道ができたのが本当に大きかった」
-異例のワンマッチ方式に決まって。
「やるしかない、やりきるしかないと。自分の力をこの1試合に出し切ると考えて今日までやってきた。この試合を通じてさらに強くなれたと思うし、このような緊張感のある、今まで世の中が経験したことのない試合を経験できた。これを五輪に生かしたい」
-丸山選手の仕掛けは想定内だったか。
「試合をやっている中で、想定外というか、こういうことをやってくるんだということはあまりなかった。今までと違う組み手をやってきたが、しっかり冷静に対処できた。自分のペースで試合を進められた」