阿部一二三「丸山選手の分も背負って」24分死闘から一夜明け…東京五輪へ決意新た
柔道男子66キロ級で13日に行われた東京五輪代表決定戦で勝利した阿部一二三(23)=パーク24=が14日、オンラインで一夜明け会見を行った。日本柔道史上初となるワンマッチでの決戦で、世界王者の丸山城志郎(27)=ミキハウス=との24分に及ぶ死闘を制し、悲願の五輪切符を獲得。「丸山選手の分も、東京五輪では絶対に金メダルを獲りたい」と宿敵の思いも背負って戦うことを誓った。
死闘を物語る傷が額に残りながらも、阿部の表情は晴れやかだった。「改めて見返して、すごく濃い24分間の試合だった。自分の柔道を貫き通せたのが一番の勝因」と振り返り、「今回の一戦で強くなれた。もっと進化する阿部一二三を見てもらえたら」と五輪への決意を新たにした。
宿敵との激闘の日々も力に変える。丸山には一時3連敗を喫し、代表争いでリードを許したが、執念で五輪切符をもぎ取った。「丸山選手がいなければここまで強くなれてない。丸山選手の分も背負って、東京五輪で絶対に金メダルを獲るという目標でやりたい」と、高め合ったライバルに報いることを誓った。
前夜は興奮でなかなか寝付けず4時間ほどしか眠れなかったものの、携帯電話には祝福メッセージが殺到した。「代表が決まった実感や、うれしい気持ちでいっぱいになった」と頬を緩めた。
先に五輪を決めていた妹・詩(日体大)の応援にも報いた。当日は会場で兄が勝った瞬間に感涙。ツイッターで「全身が震えてました」と感動を報告したが、阿部は「僕の前ではなかなか正直にならない(笑)。『全身が震えた』とは言ってなかったが、妹のうれしそうな顔も見られたのでホッとした」と笑った。