五郎丸引退「日々の努力」「夢への近道」貫き「32年間全力」対エディーは「宿命」一問一答
ラグビー元日本代表FB五郎丸歩(34)=ヤマハ発動機=が、16日、静岡県浜松市内で引退会見を行った。9日に来年1月16日に開幕するトップリーグ(TL)を最後に引退することが発表されていた。以下は会見でのやりとり。
(はじめに自身から)
「私、五郎丸歩は1月16日に開幕するトップリーグを最後に現役を引退する決意をいたしました。3歳からラグビーを始めて、32年間全力で走り続けてきました。残り1シーズン戦う体力、気力しか残っていません。これまで支えて、関わっていただいたみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです」
「私はヤマハ発動機と22歳のときにプロ契約をさせていただきました。その瞬間から35歳まで第一線で戦い抜くことを決意して契約したことを昨日のように思います。この日が来るのは自分の中では決まっていたと思います。長いスパンでこの日を迎えることになったということです」
「引退後については白紙でございます。私自身の性格は2つ同時に考えられる器用な人間ではありません。不器用ながら1つ1つ積み上げてきた人間ですから、シーズン後にしっかり考えて行きたいと思います」
(続いて報道陣との一問一答)
-35歳で引退と決めていたというが。
「自分に感情がなければできると思います。アスリートは体力だけでなく気力の部分も大事になってきます。気力の部分が衰えていることを感じ、35という節目で現役を退くことが自分にとっても周りにとってもベストだと思いました」
-シーズン前に引退発表する形になった。
「引退発表会見はシーズンを終えた後にするのが本来の形であると理解しています。しかしながら昨年も新型コロナウイルスの影響で6試合でシーズンを終了した。(来季も)もしかしたら中断してしまうかもしれない。開幕前に挨拶しておくことが、私の考える礼儀であると考えこの会見を承諾して頂いた形だと思います」
-いちばんの思い出は。
「32年もラグビーをしていると1番を選べなくなる年齢になるんですが、やはり日本のラグビーの歴史を変えた南アフリカ戦は心に残っていますし、次の試合でスコットランド戦に大敗したことも残っていますし、ヤマハで入れ替え戦を戦ったことも自分の中で残っています。すべての試合、練習が一番ですから、一番を選ぶ事はできません」
-23年W杯を戦う後輩たちへ。
「エディーと対戦が決まったことに宿命を感じます。ラグビーが生まれたイングランドという素晴らしい国に勝利することで日本の価値は高まっていくと思う。後輩たちにはがんばって頂きたいと思います」
-ラグビーをする子供たちが増えた。
「ラグビー選手として日本代表のジャージーを着たいという子供たちが増えていることを嬉しく思います。2015年の前はそういった子供たちもなく、環境を変えたいと、エディージャパンの過酷なトレーニングに4年間耐え抜き、ラグビーを憧れの舞台にステージを上げられたことを嬉しく思います。2019年は私は出場しませんでしたが彼らがラグビーの大きな魅力を発信してくれたと思います」
-五郎丸ポーズ
「ラグビーをずっと続けてきた人間としましては一人にフォーカスされる違和感はもちろんありました。ラグビーはだれかヒーローが出るわけではなく、1人1人が自分の仕事を全うした上で勝利がくる。3歳からやってきて違和感はありましたけど、ラグビーという競技が日本で広がっていない以上、私がラグビーの魅力というのを広げていくのが自分に与えられた使命だと感じてここまでやってきました」
「最初は少しきつかったですけどね、考え方を変えたら素晴らしい機会をいただいた思いますし、あのポーズから入ってラグビーを好きになった、違う選手を好きになったという人がいれば私がラグビーを続けてきた意味があると思います」
-引退発表後のSNSで「自分らしく」と記していた。
「私自身は力強さをモットーとしていますし、『日々の努力』『夢への近道』という言葉を大事にしています。試合だけでなく日々の生活も大事にしながら、試合に向けて、ラストシーズンに向けて努力して行きたいと思います」