引退のロンドン銀・中矢力 思い出は五輪決勝「頭真っ白」「参ったしたくないと」

 現役引退を発表した12年ロンドン五輪柔道男子73キロ級銀メダルの中矢力(31)が17日、オンラインで会見し「東京五輪まで続けるつもりだった。五輪が延期になり、(最後に)出場する大会がなかったのは残念だが、これをもって引退と考えた」と話した。今後は所属のALSOKでコーチとして後進を指導する予定で「技が切れる選手よりもしつこい選手をつくるのが目標。僕が成し遂げられなかった金メダルを教え子にとってほしい」と語った。

 日本国内でも激戦区の階級で世界選手権を2度制した中矢だが、現役時代の印象深い試合としてはロンドン五輪決勝を挙げた。「あまり記憶がなくなることはないが、五輪決勝の舞台に上がると頭が真っ白になり、自分の柔道ができなかった」。この試合ではイサエフ(ロシア)に腕関節を決められたものの、「参った」はせず。寝技を得意としているプライドがあったといい「普通なら『参った』してもおかしくない(腕の)曲がり方だったが、寝技では負けたくなかった。(腕が)折れても『参った』はしたくない、寝技師として負けたくないと。それが心に残っています」。

 自身が金メダルに届かなかった悔しさを踏まえて、来夏の東京五輪代表に向けては「世界選手権や他の国際大会とは雰囲気が違い、外国人の勢いが全く違うので。それでも動じない精神力の強さを身につけた方がいい」とエールを送った。

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