桃田賢斗、交通事故から346日ぶり実戦復帰「帰ってきたな」 東京五輪へ再始動星

 「バドミントン・全日本総合選手権」(23日、東京・町田市立総合体育館)

 男子シングルス1回戦で、1月に遠征先のマレーシアで交通事故に遭い、右目の眼窩底骨折を負って手術した世界王者の桃田賢斗(26)=NTT東日本=が346日ぶりに実戦復帰を果たした。森口航士朗(埼玉栄高)に2-0で快勝。新型コロナウイルスの感染拡大で来夏に延期となった東京五輪に向けて再始動した。

 衝撃の事故から11カ月、エースが帰ってきた。桃田はコートの感触を確かめるようにゆったりとしたラリーから入ると、中盤からは鋭いスマッシュも披露しながらゲームを支配。「独特な緊張感、試合前の居ても立ってもいられないソワソワ感を含めて、『あ、久しぶりだな』と感じることができた。コートに立った時に『お、帰ってきたな』と。楽しみながらプレーできた」。慣れ親しんだ場所で輝きを放った。

 「僕はまだバドミントンをできますか?」。1月にマレーシアで交通事故に遭った直後、駆けつけた日本代表の朴柱奉監督に言った。運転手が亡くなる凄惨(せいさん)な事故。自身も顔面の裂傷と全身打撲を負い、人生の全てだったバドミントンを奪われる強い不安に襲われた。帰国後には「シャトルが二重に見える」と不調を訴え、眼窩底骨折が判明し手術。五輪が延期となった分、地道なリハビリで完全復活を目指してきた。

 第二の故郷で原点も思い出した。7月中旬のオフ、福島県立ふたば未来学園で合宿を行い、母校の中高生と手を合わせた。「コロナ禍での練習で少しマンネリを感じていた。母校で1人1人がすごく目を輝かせていて…」。世界を夢見て必死にシャトルを追った自身の姿を後輩たちに重ね、「もっと強くなりたいと再認識できた。そこから練習の質は絶対に上がった。その積み重ねが今日につながった」とうなずいた。

 4年前には不祥事でコートから遠ざかったが、反省とバドミントンへの情熱ではい上がってきた。「今日の方が(周囲が)圧倒的に温かい(笑)。あのときは周りの目を気にしていたが、今日は伸び伸びプレーできた。11カ月いろんな思いをしてきたので、感謝の気持ちをコートで表現できればいい」。2020年に襲った苦境も、さらにラケットを強く握るための動機に変えられる。

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