五輪式典演出・野村萬斎氏のチーム解散「苦渋の決断」 コロナで簡素化…プラン白紙

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は23日、来夏に延期された東京大会の開会式・閉会式の演出について、狂言師の野村萬斎氏(54)を統括とする総合演出チームを解散し、これまでパラリンピックの式典を統括していたCMクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)が新たな総合統括に就任すると発表した。新チームで簡素化を念頭に置いた演出を検討していく。大会まで残り7カ月に迫る中で、演出プランは白紙に。都内で会見した野村氏は、悔しさをにじませた。

 組織委は新型コロナウイルスの感染拡大による式典の簡素化を見据える中で、これまでの演出プランを白紙にすると決定。大会まで残り7カ月のタイミングで、効率を重視し、18年7月から活動してきた野村氏を統括とし、歌手の椎名林檎氏、振付家のMIKIKO氏ら7人による演出チームを解散して、佐々木氏にプランを一任すると決めた。

 2年以上もかけて作り上げてきたものが世に出ることはなくなった。都内で会見した野村氏は「こういう状況になり、スタッフに対して断腸の思いではある。作り上げてきた段階で白紙というか…。苦渋の決断」と無念さをにじませた。

 ただ、特殊な状況であることに理解を示した。「さまざまなことに迅速さが求められ、機動力、効率を上げることが最優先であることは私も同意している。7人とも納得している。佐々木さんが、われわれクリエーティブチームが積み上げてきた日本から世界への発信を受け取って、十分に発揮してくださる。日本からのメッセージを佐々木さんに託します」と語った。

 組織委の武藤敏郎事務総長は「社会情勢の変化や簡素化を考える中、ゼロベースで見直しを進める。限られた時間の中で、迅速、効率的に進めるため、新たな体制構築が必要だった」と説明。野村氏はアドバイザーの肩書で文化的な意義づけなどを担うが、「佐々木さんにお任せするなら邪魔になってはいけない」と話すなど、新チームとは一定の距離を置くとみられる。

 就任当初、コンセプトを「鎮魂と再生」とし、「シンプルかつ、和の精神に富んだ式典にしたい」と話した野村氏率いる演出チームへの、国民の期待は高かった。新国立競技場のデザインやエンブレムなど、さまざまなことが白紙になってはやり直されてきた東京大会。希代の狂言師も負の連鎖にのみ込まれた。

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