柔道リオ五輪銅・羽賀龍之介が全日本選手権初制覇「覚悟や意地なくなったら終わり」
「柔道・全日本選手権」(26日、講道館)
体重無差別で争われ、リオデジャネイロ五輪男子100キロ級銅メダルの羽賀龍之介(29)=旭化成=が3度目の出場で初優勝を果たした。決勝は、100キロ超級の太田彪雅(23)=旭化成=を6分、得意技の内股による一本勝ちで破った。
最後は“伝家の宝刀”で巨体を完璧に投げ切ると、羽賀はしゃがみこんだまま喜びをかみしめた。4月から延期となった年に一度の最強決定戦。今年は東京五輪代表から落選したものの、「悔しかったが切り替えて、一つ大きなタイトルに向けてやってやろうというのがモチベーションになった」と年末開催となった大一番に懸けてきたという。
ヤマ場は3回戦だった。100キロ超級東京五輪代表補欠で優勝候補の影浦心(25)=日本中央競馬会=と対戦し、老かいな戦術で封じ切って反則を奪った。「影浦は今本当に成長している選手」と認めながらも、「彼が大学1年の時からかわいがって毎日稽古していた後輩だが、コロッと負けたら先輩としてかっこつかない。壁になってやろうと思った」と勝負の鬼となった。
その後も決勝までは大学、所属の後輩の前に次々と立ちはだかった。「29歳という年齢で、試合で諦めるのは簡単。年下、後輩には負けられないという意地を持って戦えたことが、勝てた要因かなと思う。衰えるところもあるが、弱い部分を認めることで質の高い準備ができている。覚悟や意地がなくなったら終わりと思って、今日は意地を持って戦った」と胸を張った。
来年30歳となるが、全日本チャンピオンという新たな称号も手に入れた。「まだ東京五輪が開催されてないので、24年(パリ五輪)のことは1つも頭にない」としながらも、「一つ目標が終わってまた次の目標が出てくると思う。そこに向かって頑張りたい」と話した。
日本男子の井上康生監督は「内容も非常に素晴らしく、全日本を盛り上げてくれた。(多くの)経験を積み重ねてきた試合内容、強さだった」と講評し、「今回の優勝でまた新たに自信を取り戻したと思う。現役中はとことんまで勝負にこだわって、また世界王者を目指して戦ってもらいたい」と期待を寄せた。