羽生“謙信”が超絶演技 今季世界最高319・36点で5年ぶり全日本V!
「フィギュアスケート・全日本選手権」(26日、ビッグハット)
男子フリーが行われ、今季初戦となった五輪2連覇王者で、SP首位の羽生結弦(26)=ANA=は、合計319・36点で、5年ぶり5度目の優勝を飾った。同じく参考記録ながらスケートアメリカで世界王者のネーサン・チェン(米国)が出した299・15点を超える今季世界最高得点をマークした。
ロックスターを演じたSPとは一転、フリーは水色の着物風の衣装で登場し、戦国武将・上杉謙信の生涯を描いた大河ドラマ「天と地と」のテーマにのり、荘厳な世界観を氷上に描いた。“軍神”、“越後の龍”などの異名を持つ戦国最強の呼び声高い大名。一方で私利私欲に走らず、大義名分のない戦いはしなかったと言われる「義の武将」の姿は、自身の銀盤の戦いに挑む感覚とも重なった。
今回の全日本も、悩みに悩んだ末の出場だった。新型コロナウイルスの感染拡大により、ぜんそくを抱える自身への健康面のリスクや、移動による周囲の感染リスクを考慮し、今季はGPシリーズを欠場した。当時「私が動くことによって、多くの人が移動し集まる可能性があり、その結果として感染リスクが高まる可能性もある」と、説明したように、自らの立ち位置、そして周囲への影響を考えた羽生らしい決断だった。
それでも今回は戦いの舞台に戻ることを決めた。「考えは変化していないです。はっきり言ってしまえば、自分の個人の考えとしては、やっぱりなるべく感染に繋がるような行動はしたくない。で、現状、全日本が近づくにつれて、どんどんいわゆる第3波と言われる波が近づいている状況で、僕が出ていいのかという葛藤はありました」と明かした上で、決断に至った理由を口にした。「どうしても世界選手権に向け、選考会としてこの大会を必須として出ないといけない。僕自身の希望を繋ぐために出させてもらいました」。今大会は22年北京五輪の国別出場枠の懸かる来年3月の世界選手権(スウェーデン、ストックホルム)の最終選考会。未来を繋ぐために、銀盤へと舞い戻った。
「勝ちます。出ると決めたからには」と話していた羽生。まさに有言実行。“氷上の軍神”が、再び日本の頂点へと駆け上がった。