羽生結弦 祈りの舞「春よ、来い」一番伝えたいメッセージ…世界中の人へぬくもりを
「フィギュアスケート・メダリスト・オン・アイス」(28日、ビッグハット)
大会上位選手によるエキシビションが行われた。男子では圧巻の演技で5年ぶり5度目の王者に輝いた羽生結弦(26)=ANA=が、コロナ禍の世界へ「少しでも心が温かくなるような演技がしたい」との思いを「春よ、来い」の演技に込めた。
柔らかなピアノの旋律が、羽生の背中をそっと押す。「少しでも心が温かくなるような演技がしたかった」。コロナ禍、先の見えない世の中へ、世界中の人へ、「春よ、来い」-。「何よりもこの時期にピッタリというか、世の中に一番伝えたいメッセージだったので」と言った。
コロナ禍、一人で練習をする中で、精神的にどん底まで落ちた時期があった。それでも「やっぱスケート好きだな」と思わせてくれたプログラムの一つが、この「春よ、来い」だった。自身をも救った曲。だからこそ届くメッセージがきっとある。演技の一瞬一瞬に思いがこもった。
「プログラムごとにオーラが変わるような演技をしたい」とも語ったように、幾人もの羽生結弦を見せ、人々の心を励ました。
オープニングではフリー「天と地と」の衣装で登場し、人気アニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」をノリノリで披露。アンコールはショートプログラム(SP)のロック曲「レット・ミー・エンターテイン・ユー」で会場を盛り上げ、フィナーレでは紀平と片手側転でコラボレーションした。最初から最後まで、さまざまな表情の羽生が、コロナ禍の世界へ「春」を届けた。